特集

電力自由化は
成功したのか?
高圧・低圧の
新電力事情と未来

電力自由化は、2000年3月に、電力契約が2,000kW以上の電力プランを契約している「特別高圧」区分から始まりました。
特別高圧は、主に大規模工場・デパート・オフィスビルなどが契約されているプランです。
電力自由化によって、これまで大手電力会社が独占していた電力小売りの規制が緩和され、新規参入した電力会社「新電力」からも電気を購入することが可能になりました。
2005年4月には、電力自由化の対象が50kW以上の「高圧」区分の法人へと広がりました。高圧は、中小規模工場や中小ビルなどがおもに契約しているプランです。
そして、 2016年4月1日からは、「低圧」区分の家庭や商店などにおいても電力会社が選べるようになり、大企業の電力小売への参入が進み、低圧も高圧も選べるプランが倍増しました。
しかし、2020年12 月~ 2021 年1月のJEPX(卸電力取引所)でのスポット取引価格が最高で150円で取引されるなど、ベース電源を保有せずにJEPXからの仕入れに頼る新電力の多くは大きな大打撃を受けました。また、2022年のロシア・ウクライナ間の戦争による経済制裁などでLNGなどがさらに高騰したことで、JPEXは連日高騰した影響により、多くの新電力が倒産・事業撤退を余儀なくされました。

2023年現在では多くの新電力が淘汰されて、ベース電源を保有する大手新電力が中心となり、引き続き電気を販売していますが、JEPXと価格が連動した市場連動型電気料金プランが主流となっております。中堅新電力の参入も増えております。

  • 2000年3月 電力小売自由化スタート
  • 2004年4月・2005年4月自由化領域拡大
  • 2016年4月全面自由化

電力自由化ってなに?

電力自由化は、これまで大手電力会社(北海道電力、東北電力、北陸電力、東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)が独占してきた電力の小売を規制緩和し、異業種からの参入を促すエネルギー改革です。電力小売に新たに参入した企業を、「新電力」といいます。

2016年4月の一般家庭の電力自由化の際には、電力業界以外の大手会社がポイントサービスや特典を武器に多くの企業が参入しました。

これまで電気の購入先は地域の電力会社のみ 現在電気の購入先はさまざまな事業者から選べる これまで電気の購入先は地域の電力会社のみ 現在電気の購入先はさまざまな事業者から選べる

では、電力自由化によって、
電力会社を切り替えるメリット
は何でしょうか?

高圧の場合は、日中と夜間などで電気使用量が大幅に差がある企業(負荷率が低い企業)であれば、大幅な電気代の削減が見込めることです。日中は稼働しているけれど、夜間は稼働していない大規模製造業や、大規模な病院などが該当します。

電気料金明細をみて、負荷率について疑問をお持ちになりましたら、当サイト「スイッチビズ」でも相談窓口を設けておりますので、ぜひ依頼をしてみてください。

高圧電気料金の一括見積りサイト
「スイッチビズ」

低圧の電力自由化のメリットは、電気代はあまり安くならないのですが、新電力の既存サービスと連携し、ポイントがもらえたり、ガスとの契約で更に値引きになるといった新たなサービスを受けられます。

新電力シェア増加

高圧の電力自由化から20年近くたちました。
どれくらい新電力へスイッチング(プランを切り替えること)されたのでしょうか?
資源エネルギー庁がまとめた『電力小売全面自由化の進捗状況について』といった資料がありますので、実際に見てみましょう。

高圧の新電力販売量ランキング(2022年10月)

高圧の新電力販売量ランキングをみてみましょう。こちらは、新電力ネットさんがサイトで提供している2022年10月の電力販売量の実績ランキングです。既存電力が上位を占める中で、新電力としてはエネット・エネオス・エナリス・丸紅・ミツウロコなどがランクインしております。

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電力販売量
(千kWh)
発電最大出力
(kW)
発電実績
(千kWh)
エネット1,334,93100
ENEOS651,3211,050,65876,573
テプコカスタマーサービス231,90500
関電エネルギーソリューション238,19760,9159,474
エナリス・パワー・マーケティング209,66500
日本テクノ175,804340,09880,692
出光興産199,469481,98061,224
丸紅新電力191,48200
ミツウロコグリーンエネルギー183,46910,0002,538
CDエナジーダイレクト314,31200
(出典)『全国の販売量(高圧)ランキング(438件中の1ページ目)』新電力ネット
※既存大手電力は表から省いております。

低圧の新電力シェア

小売全面自由化以降のスイッチング件数をみていくと、2018年9月時点で、約1,284万件に達しています。スイッチング率としては20.5%の達成となっています。2年4ヶ月で、約20%のスイッチングです。

欧州で最もスイッチングが進んだイギリスでは、約2年で25%でした。かたやフランスやスペインでは5年以上たっても20%を突破できていないので、日本においては「まずまず」の状況と言えるかもしれません。

次に、エリアごとのスイッチング率をみていきましょう。すると、家庭用の場合、中部電力管内が29.0%。関西電力管内が26.1%、東京電力グループ管内が22.5%となっており、三大都市圏の切り替え率がダントツであることがわかります。地方ではまだまだ、スイッチングが進んでいないことがわかります。

電力自由化の今後

新たにベースロード電源市場が開設

2019年7月、政府は新たにベースロード電源市場を開設しました。
新電力の多くは、発電コストの低い原子力発電所や水力発電所を所有していないため、卸売取引所などを通じて電気を購入するため、割高な電気を購入するしかありませんでした。
そこで、大手電力会社との競争条件を近づけるため、発電コストが比較的安い石炭火力、原子力、水力発電などで発電した電気を取引できる「ベースロード電源市場」の開設に至ったのです。
取引は入札制で行われます。政府は大手電力会社に十分な量のベースロード電源を拠出するように求めており、また、価格も「不当に高い水準」にしないように定めています。

これにより、国内の年間消費量の約7%に当たる約560億キロワット時の電力量が比較的安価で市場に供給されることが期待されており、電気料金の低下が見込まれています。

卸電力市場のイメージ