電力自由化は
成功したのか?
高圧・低圧の
新電力事情と未来
電力自由化は、2000年3月に、電力契約が2,000kW以上の電力プランを契約している「特別高圧」区分から始まりました。
特別高圧は、主に大規模工場・デパート・オフィスビルなどが契約されているプランです。
電力自由化によって、これまで大手電力会社が独占していた電力小売りの規制が緩和され、新規参入した電力会社「新電力」からも電気を購入することが可能になりました。
2005年4月には、電力自由化の対象が50kW以上の「高圧」区分の法人へと広がりました。高圧は、中小規模工場や中小ビルなどがおもに契約しているプランです。
そして、 2016年4月1日からは、「低圧」区分の家庭や商店などにおいても電力会社が選べるようになり、大企業の電力小売への参入が進み、低圧も高圧も選べるプランが倍増しました。
電力自由化ってなに?
電力自由化は、これまで大手電力会社(北海道電力、東北電力、北陸電力、東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)が独占してきた電力の小売を規制緩和し、異業種からの参入を促すエネルギー改革です。電力小売に新たに参入した企業を、「新電力」といいます。
2016年4月の一般家庭の電力自由化の際には、電力業界以外の大手会社がポイントサービスや特典を武器に多くの企業が参入しました。


では、電力自由化によって、
電力会社を切り替えるメリット
は何でしょうか?
高圧の場合は、日中と夜間などで電気使用量が大幅に差がある企業(負荷率が低い企業)であれば、大幅な電気代の削減が見込めることです。日中は稼働しているけれど、夜間は稼働していない大規模製造業や、大規模な病院などが該当します。
電気料金明細をみて、負荷率について疑問をお持ちになりましたら、当サイト「スイッチビズ」でも相談窓口を設けておりますので、ぜひ依頼をしてみてください。
「スイッチビズ」
低圧の電力自由化のメリットは、電気代はあまり安くならないのですが、新電力の既存サービスと連携し、ポイントがもらえたり、ガスとの契約で更に値引きになるといった新たなサービスを受けられます。
新電力のシェアは増加
高圧の電力自由化から20年近くたちました。
どれくらい新電力へスイッチング(プランを切り替えること)されたのでしょうか?
資源エネルギー庁がまとめた『電力小売全面自由化の進捗状況について』といった資料がありますので、実際に見てみましょう。
高圧の新電力シェア
高圧電力のシェアは、年々増加しており、多くの地域で新電力のシェアが15%を超えています。全面自由化直後に比べると、2〜3倍となっているので、一般家庭の電力自由化にも影響をうけ、スイッチングが加速していることがわかります。
一方、特別高圧のほうは、新電力シェアは概ね10%以内の推移となっており、北海道や東北などの一部の地域を除くと、大幅な増加はない状況となっています。
高圧の新電力販売量ランキング
高圧の新電力販売量ランキングをみてみましょう。こちらは、新電力ネットさんがサイトで提供している2019年3月の電力販売量の実績ランキングです。1位のエネットは、株式会社NTT ファシリティーズ、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、日本電信電話株式会社が共同出資した企業で、2001年度から2017年度まで、17年連続新電力実績No.1(資源エネルギー庁・電力調査統計より)です。
電力販売量 (千kWh) | 発電最大出力 (kW) | 発電最大出力 (kW) | |
テプコカスタマーサービス | 895,811 | 0 | 0 |
エネット | 865,416.62 | 0 | 0 |
F-Power | 328,430.661 | 0 | 0 |
エナリス・パワー・マーケティング | 293,112 | 0 | 0 |
丸紅新電力 | 229,730 | 0 | 0 |
JXTGエネルギー | 371,842 | 1,061,533 | 363,292 |
オリックス | 159,372 | 34,131 | 5,910 |
ウエスト電力 | 134,407 | 0 | 0 |
サミットエナジー | 170,004 | 0 | 0 |
昭和シェル石油 | 150,335 | 13,120 | 2,433 |
高圧・特別高圧の「スイッチビズ」で
できること
高圧・特別高圧の「スイッチビズ」で
できること
電力自由化の今後
新たにベースロード電源市場が開設
2019年7月、政府は新たにベースロード電源市場を開設しました。
新電力の多くは、発電コストの低い原子力発電所や水力発電所を所有していないため、卸売取引所などを通じて電気を購入するため、割高な電気を購入するしかありませんでした。
そこで、大手電力会社との競争条件を近づけるため、発電コストが比較的安い石炭火力、原子力、水力発電などで発電した電気を取引できる「ベースロード電源市場」の開設に至ったのです。
取引は入札制で行われます。政府は大手電力会社に十分な量のベースロード電源を拠出するように求めており、また、価格も「不当に高い水準」にしないように定めています。
これにより、国内の年間消費量の約7%に当たる約560億キロワット時の電力量が比較的安価で市場に供給されることが期待されており、電気料金の低下が見込まれています。
