工場のコスト削減に大きく貢献する、製造機器の節電方法
現在の工場では、ほとんどが機械による製品製造がメインになっており、電動機器は欠かすことが出来ない存在です。それだけに、節電のためには機器稼働に掛かる電力消費のコントロールが重要です。
工場にある製造機器動力のうち、頻繁に使われるものは電動機やエアーコンプレッサーではないでしょうか。今回は、この2つの製造機器における節電ポイントを具体的に解説し、製造機器の節電がスムーズに進められない工場の実態も紹介します。
工場で製造機器動力を節電するために重要な2つのポイント
ここでは、工場内にある製造機器動力の重要な節電ポイントをチェックします。
製造機器に投入する電力をコントロールすれば、製品による利益も出しやすくなります。ただ、同じ電力量でも製造効率が大きく変わってくる点に注意しなければなりません。
1.電力消費の損失(ロス)をいかに削減できるかが重要ポイント
製造作業に使用される電力が、すべて製造のために消費されている訳でないことは意外と知られていません。製造機器に使われる電力には損失(ロス)が発生しています。このロスが少なくなれば、同じ電力量でも製造量が大きく異なってきます。
1つの製造物に掛かる電力ロスは微々たるものですが、数万から数百万単位で製造する工場では、ロスの積み重ねにより相当の無駄が発生します。
しかし、各種製造機器の電力ロスを削減していくための統一的な改善対策は存在していません。そのため機器ごとに合った対策を取らなければなりません。
また、工場ごとに製造量も異なるため、対策にも独自性が必要となります。
2.インバーター制御方式の機器を使用して節電効果アップ
製造機器の節電に役立つのが「インバーター制御方式」です。これは、簡単に言うと電力消費にパターンを設けてくれる方式です。
例えば照明機器で言うと、電源のオンオフ以外にも好みに合わせて明るさや暗さなども制御できます。
製造機器にもインバーターによる強弱機能があることで、様々なタイプの製品が製造できるようになります。電力を使うか使わないか、単に2つの機能しかないと理想的な節電効果は望めません。
現在、多くの製造機器はインバーター制御になっています。インバーター制御は、製造機器の節電を進めるための最低条件と言っても過言ではありません。
工場に不可欠な電動機の具体的な節電ポイント2つ
ここからは、工場の製造機器動力として最も重要な電動機の節電ポイントを見ていきます。
大きな工場では、出力がかなり大きい製造機器を導入することが多いです。しかし、重量やサイズの異なる製品を製造する工場の場合、出力の大きい製造機器がマッチするとは限りません。
特に電動機は全ての製造機器とセットになっているため、より緻密な節電対策が必要です。
1.制御モーターや台数を徹底的に吟味して電力損失を削減!
電動機の節電を進める上でかなり大きなポイントが、「制御モーター」を用途に応じて使い分けることです。
制御モーターには、通常「SVM(サーボモーター)」「STM(ステッピングモーター)」の2タイプが存在します。高速回転には「SVM」、低速回転には「STM」を使うことが理想的です。
「SVM」は負荷が増えることで電力ロスが多く、「STM」はモーター回転が多くなるほど電力ロスが多くなります。そのため、組み合わせる機器によってモータータイプを選ぶことが重要です。
また、ポンプなどに使われる電動機は、必要に応じて使用する台数を制御することで、時間帯によって発生する無駄なモーター稼働を減らすようにしましょう。
2.電動機の意外な節電ポイントはベルト部分にある!?
電動機は電力を動力に変えるシンプルな構造になっていますが、その伝達手段として大きな役割を果たす部位が「ベルト」です。
電動機の節電とベルトが関係あるのか、あまりピンとこないかもしれませんが、実はベルトの品質が電力の無駄な消費に大きく影響を与えているのです。
ベルトの回転摩擦の強さや滑り、そしてベルトそのものの揺れなどが、電力を動力化する際の大きな妨げになります。
「エコベルト」を活用することで、このようなベルトの機能を安定させることが可能です。厳密には「エコVベルト」と呼ばれるタイプで、ベルトの曲がりがフレキシブルで電力損失が半減するというメリットがあります。
工場の重要な動力機器!エアーコンプレッサーを節電する2つのポイント
電動機と並んで工場の重要な動力機器が、エアーコンプレッサーです。エアーコンプレッサーは継続的な動力生成よりも、瞬間的に力強い動力を作り上げる時に大変役に立つ機器です。
圧縮した空気を使うこともあり、電動機とは作動メカニズムが全く異なるため、節電ポイントも全く別物になります。
1.各パーツに合った節電対策を考慮することが大切
エアーコンプレッサーの節電対策で重要なポイントは、機器全体で統一した対策をとることではなく、作動パーツごとに節電対策を進めていくことです。
エアーコンプレッサーが空気圧縮を行う本体が重要な部分ですが、その中でも特に空気を使って動力を生成する「空気機械」部分の節電が重要です。
一般的に「空気機械」はエアーコンプレッサーの消費電力中で最も大きく、作業負荷が高くなればなるほど消費電力も大きくなります。
そこで、圧縮した空気を保存する「レシーバータンク」を活用すれば負荷も改善し、節電に大きな効力を発揮してくれます。節電のためには、エアーコンプレッサーの「レシーバータンク」併設は欠かせません。
2.圧縮空気の配管をメンテナンスして動力漏れを防止
エアーコンプレッサーの節電に悪影響を与える最大要因が、圧縮した空気の漏れです。エアーコンプレッサーにとって圧縮空気漏れは、直接的に動力漏れにも繋がります。
一般的に「レシーバータンク」から配管を通して「空気機械」に空気が送られますが、配管の劣化などによって穴が開いたりすると、1回の出力に掛かる電力に損失が出てしまいます。
配管品質の低下による電力損失を防ぐには、配管のメンテナンスを確実に行うことが大切です。配管のメンテナンスを行うことで、電力損失のリスクが大幅に軽減されます。
損失量は僅かでも累積されると意外に大きな損失になるかもしれませんので、注意が必要です。
製造機器全般の節電がスムーズに達成できない工場の実態とは?
製造機器の節電は、その動力源である電動機やエアーコンプレッサーの節電が重要ですが、これらをスムーズに達成できない工場も規模を問わずに数多く存在しています。
そういった工場では、日常業務上に悪習慣が多いため節電が達成できず、その結果適切なコストで良品を製造できないという悪循環に陥ってしまっています。ここでは、具体的な悪習慣の例を挙げていきます。
節電に悪影響を与えるパーツの摩耗などをメンテナンスしていない
動力機器の節電が達成できない工場では、各種機器やツールのメンテナンスを積極的に行っていない傾向があります。メンテナンスには日々の動作確認もありますが、金具やパーツなどの摩耗を確認することも必須です。
このような工場では、動力機器が故障してから対策を打つことが多いため、いざという時に製造が滞ってしまうこともあります。これでは節電どころか、著しい収益性の悪化を招くことは避けられません。
品質基準にメンテナンスを盛り込んでいない工場もまだ存在しており、機器のパーツが節電に悪影響を及ぼすことを意識していないのは明らかです。機器のコンディションは、定期的にチェックすることを基本としなければなりません。
作業量を見極めずに余計な機器の電源をオンにしている
製造計画を適切に組めていない点も、製造機器関連の節電を進められない工場の大きな特徴です。
消費電力を含めたランニングコストを意識することが本来の製造管理ですが、適切な人材によって管理されてない場合、製造スタッフに任せっきりであることも多いです。
この場合は製造機器の電源なども切らずに放置しているケースもあり、作業していない時にも無駄な電力を消費していることも少なくありません。
仮に製造管理部門が存在しなくとも、作業量の見極めやそれに付随する業務管理ができる人材が在籍していれば良いですが、意外な盲点となって想定外に節電効果を下げてしまっているケースがあります。
工場にある製造機器の節電をしていくためには、パーツのメンテナンスをしっかり行い、電力損失を減らすことが重要です。
こちらで紹介したポイントをしっかり押さえて、効果的な節電に繋げましょう。