高圧電気料金の仕組みと安くする2つの方法
今回は高圧電気料金の仕組みについていくつかご紹介していきます。
高圧電気の基本料金の仕組み
一般的な高圧契約の場合、契約電力が500kW未満と500kW以上で単価に変わりはありませんが、基本料金の仕組みが大きく異なります。
契約電力が500kW以上でしたら、使用する負荷設備や受電設備の内容、また同一業種の負荷率等などを基準として電力会社と需要家の協議をした上で決定することが殆どですが、契約電力が500kW未満ですと少々複雑な仕組みが採用されます。
500kW未満の契約で採用される実量制とは?
500kW未満で契約する場合、実量制と呼ばれる契約電力の決定方法が採用されます。
過去1年間における各月の最大需要電力で最も大きい値を記録した時の電力が適用されます。この制度のことを実量制といい、この仕組みをきちんと理解しておかなければ、後になって莫大な電気料金を支払うハメになってしまいます。
つまり事前のシミュレーションにより、多くの電力使用が予想される場合には、実量制では無い他の高圧電力プランの検討が必要になります。
実量制で基準となるのは30分毎の電力使用量
もう少し詳しく実量制についてご説明しますと、電気料金の基準となるのは30分毎の電力使用量です。
1ヶ月で最も多くの電力を使用した30分毎の平均のうち、最も大きい値のことを「最大需要電力」といい、同時に使用する負荷設備が多ければ多いほど最大需要電力の値も大きくなります。
この最大需要電力が過去1年間で最も大きかった値を基準として契約電力が決定します。
契約電力から基本料金を計算
毎月の電気料金についてですが、契約電力に基づき計算される基本料金、そして使用電力量で計算する電力量料金、さらに再生可能エネルギー発電促進賦課金を合算されたものとなります。
電力量料金については、燃料費の変動に応じ、燃料費調整額を加算、もしくは差し引くことで計算していきます。
基本料金 | 基本料金単価(税込)×契約電力×(185−力率)/100 |
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電力量料金 | 電力量料金単価(税込)×使用電力量±燃料費調整額 |
合計 | 基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金 |
高圧電気料金における契約電力決定方法のデメリット
1年間を通じて、ほぼ平均的に電力を使うことが出来れば問題ありませんが、日本には四季があるため、どうしても気候によって電力消費量が上下します。これは一般家庭でも同じことが言えますが、暑い夏場にはエアコンをフル稼働させるため、電気代がかなり高くなります。
また寒い冬場でもこたつや暖房を頻繁に使用することで消費電力は大きくなります。この一時的な消費電力の多さが、高圧電気料金における契約電力決定方法のデメリットと言えます。
1度でも消費電力が多い時間帯があると基本料金が上がる
先述した通り、高圧電気料金というのは、1年間で電力使用量が最も多くなった30分毎の値が適用されるため、たった1度でも消費電力が多い時間帯があると、そのまま電気料金に影響を受けます。
例えば夏場の昼間に何台ものエアコンを一気にフル稼働したとします。その結果、昼間の一時的な暑さから逃れることができ、その後はコスト削減のためにエアコンの稼働を落とすことでしょう。
しかしその1度が年間における最大需要電力として適用され、1年間の基本料金が高くなるのです。どんなに翌月以降、コスト削減で電気を節約したとしても後の祭りであり、基本料金が下がることはありません。
もちろんさらに多くの電力を使用する時間帯が出てくると、契約電力は上がります。
「Bems」で基本料金の低減ができる!
Bemsとは、ビル向けエネルギー管理システムのことで、配電設備や空調設備、照明設備などなど、ビル内にあるあらゆる電気機器の電力使用量を制御したり、監視出来るシステムのことを言います。
このBemsを導入することによって、一時的な電力消費量による基本料金の値上がりを回避することが出来ます。
デマンドピークの抑制
Bemsにはデマンドピークの抑制というシステムがあり、これは複数あるBemsのシステムの中でも最も多くの需要家から求められているものです。デマンドピークとは最大消費電力の値のことであり、このデマンドピークを抑制するシステムが働くことによって、基本料金の低減に繋がります。
わかりやすく説明しますと「これ以上の電力を使うと基本料金が上がってしまうから、ここで電力を遮断!」ということです。現在のBemsの主要機能というのは、電気機器の消費電力をモニターなどに見える化する機能となりますが、一部ではこの制御機能も付帯されています。
電力センサーを配電盤へ装着し、リアルタイムで消費電力を計測します。万が一、契約使用量を超えそうな場合には、ブザーやモニター表示により警告したり、電力供給を強制的に停止するためにブレーカーを遮断するといった機能が付いています。
また空調設備などを一時的に停止させる制御もあり、電力使用量がピークを迎えるのを抑制し、その結果電気基本料金の削減に成功します。
CO2の削減にも貢献するBems
高圧電気の供給を契約している施設というのは、一般家庭よりも多くの電気を使用しているため、必然的にCO2の排出が多くなります。
しかしBemsで消費電力量を制御することによって、コスト削減だけではなく、CO2排出量の削減にもなるのです。地球温暖化が騒がれている現在、Bemsは高圧電力需要家の地球環境対策をサポートしてくれます。
電力会社乗り換えで高圧電気料金は安くなる!
2016年4月に一般家庭の電力が自由化されましたが、高圧電力に関しては2004年から既に自由化が始まっており、これにより、電力会社を乗り換えることで高圧電気料金を安くすることが出来ます。
また高圧電気料金の仕組みというのは、各社各契約プランによっても異なるため、適切なプランに契約することにより、コスト削減に繋がります。
新電力を比較
新電力会社も、生き残りを賭けて様々な高圧電力のお得なプランを提供しており、乗り換えを検討する高圧電力需要家はますます増えてきています。
例えば新電力会社の中には、自社でメガソーラー発電やバイオマス発電などを運営管理しているところもあり、その場合にはクリーンなエネルギーを安価で購入することが出来るようになります。
また一般的に、従量料金に関してはそのままで、基本料金のみを下げて高圧電力を供給している新電力会社が多くあります。さらに初期投資を無料にし、乗り換え時に負担をかけることなく新電力を使うことが出来るところもあります。
このように高圧電力の新電力会社は、各社で様々なプランやサービスを取り扱っていますので、まずは複数の新電力を比較してみることをオススメします。
契約プランの変更
新電力への乗り換えは特に検討していないようでしたら、現在契約している電力会社のプランを変更するという方法があります。
例えば、土日祝日や平日夜間に多くの電力を使いたい場合には、平日の昼間は高くなりますが、それ以外の時間帯は安くなるプランがあります。このような契約プランは、各電力会社の担当者と協議をして決めることが出来ますので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
電力会社最大手の東京電力では、全部で8種類のプランを用意しており、電力消費量や消費時間帯をシミュレーションすることで最もお得になるプランが見つかります。
まとめ
今回は高圧電気料金の仕組みとして、どのように高圧電力の料金が決められているのか、またどうすればその電気料金を削減出来るのかを簡単にご説明させていただきました。
高圧電気料金の仕組みさえ把握してしまえば、どうしたらコスト削減に繋がるのかをご理解いただけたかと思います。節電や運営体制の見直しなど、需要家自身で出来ることは全て行い、新電力への乗り換えやプランの変更が必要と判断された場合には、是非実行してみてください。
高い高圧電力の料金も、きっとお得になり、これまで以上のコスト削減を実現することが出来るハズです。