オフィス節電の最先端! 消費削減と発電を同時進行するメカニズム
企業の運営にとって無くてはならない電力消費ですが、近年では電力消費の削減と同時に、自ら発電していこうという考え方も増えています。このように電力消費と発電を同時進行でコントロールする考えが企業に芽生えた背景には、国が定めた「再生可能エネルギー発電」の固定価格による買取制度発足があります。
今回は、電力消費と発電を同時に行う企業の実情、そして発電をより効率的に進めていくための方法なども解説していきます。
いかに効率的に電力消費するかがオフィス節電の基本
ここでは、まず電力消費の基本概念をお話しします。企業が最も関心があることは、やはり同じ電力量でなるべく効率的に消費する方法ではないでしょうか?
分かりやすく言えば、電気料金が変わらなくても消費の満足度が高かったり、逆に同じ電力消費量でも支払う電気料金が安くなったりと、電力消費そのものの質を向上させることがテーマになります。
省エネ機器(照明やエアコンなど)を徹底的に導入する
オフィス内で電力消費を効率的に進めるには、照明やエアコンに省エネ機器を徹底導入すべきです。一般的に、1日の中で最も使用時間が長くなることが多い照明は、耐用年数が長いLED照明を導入して、消費電力を減らす必要があります。
夏場や冬場に消費電力が著しくアップするエアコンは、10年を基準に最新のエコ機種へ交換することが推奨されます。エアコンの低電力化は進化が早く、古い機種を使い続けるほど節電効果が減ってしまう可能性があります。
先述したLED照明に関しても、一般的に従来の白熱球より点灯時に発する熱が少なくなっています。そのためオフィスの室温上昇も減り、低電力エアコンとの相乗効果によって、高い節電効果が期待できます。
氷蓄熱式エアコンシステム(エコアイス)で消費電力を効率化
規模が大きいオフィスの場合、より高度なエアコンシステムを導入して節電効果を上げている事例もあります。それが、「氷蓄熱式エアコンシステム」いわゆる「エコアイス」と呼ばれるものです。
「エコアイス」は、夜間労働が少ないオフィスに最適なエアコンシステムです。一般的に電気代が安いケースが多い夜間に、冷熱若しくは温熱を作り出し、昼間のエアコン稼働に利用する画期的なシステムです。
夜間電力は、日中ピーク時に比べて電力量単価が3分の1になるケースもあります。そのため、日中にエアコンで電力を消費しないメリットは計り知れません。年間で消費する電力量も当然少なくなり、現在契約している電気料金プランを見直す大きな切っ掛けも作ってくれるでしょう。
発電を同時進行しないと失敗しやすい!オフィス節電のメカニズム
次に、発電を同時進行して電力消費をコントロールする方法について見ていきます。電力を得るために自ら発電する方法は昔からある考え方で、実際のところそれほど目新しい節電メカニズムではありません。
本当に重要な点はメカニズムそのものではなく、このメカニズムを活用しなければ節電に失敗しやすい、という問題です。ここでは、その理由について詳しくチェックしていきます。
オフィスの節電だけでは経費節減に限界がある
多くの企業が現在直面している問題は、先に説明した良質で正攻法としての消費コントロール手法では、いよいよ節電が限界にきているという点です。その他の安全対策強化や様々なコスト増によって、従来形式の節電を続けていては、抜本的な経費節減に繋がりにくくなっています。
さらに、現在は社会保障費の増加に伴って、正規や非正規労働者に関わらず社会保険料の会社負担が一様に求められるようになってきています。もはや、企業にとって主体的な経費節減であった節電だけでは、対応が難しくなっていることは明白です。
近年はこの点を深く痛感している経営者が増え、電力を作り出すことで収益性を向上させていくという考えに転換し始めています。
⇒オフィス節電に役立つ「PDCA」を導入するメリットと課題とは?
電力の自給自足で結果的に余った電力を販売し利益を出す
節電方法の主流になりつつある電力消費と発電の同時進行は、すべでの電力を自給自足で賄い、余った電力を販売して利益を出すことが理想だと言えます。
これを確実に実践するために、国の「再生可能エネルギー発電」による固定価格買取制度が注目されている訳ですが、この買い取り単価が年々減り続けているという現実も、企業側はきちんと受け止めなければなりません。
つまり、企業としては収益性を発電による売電収入に頼りすぎることなく、従来進めてきた電力消費をコントロールする手法として、節電に改めて取り組む必要があります。そして、電力消費と発電バランスの良さが節電をより効果的に進める大きなポイントなのです。
再生可能エネルギーの中で収益性が高まりやすいタイプはこれだ!
オフィス節電の効率化には、発電による収益性の向上が欠かせないことは前述したとおりです。
しかし、使用する再生可能エネルギーのタイプによって売電単価が異なる状況では、収益性がより安定的で導入費用も身の丈に合ったタイプを選ぶべきです。ここでは、現段階にて各企業が参入すべき収益性が高まりやすい発電タイプを解説します。
10kw以上タイプの太陽光発電
まず1番目に、「太陽光発電」の中でも非住宅における発電容量10kW以上のタイプが挙げられます。太陽光発電は、企業が進める発電方法として、国の買取制度が始まった当初から最も導入されることが多かった方式です。
しかし、近年に見られる参入者の多さもあって、収益性を左右する売電単価は年々減少し続けています。それでも、設備投資が他の方式と比較してリーズナブルなこともあり、従来方式による節電をしっかり進めることを前提としているならばトータルで一定程度の収益性がまだまだ見込めるでしょう。
太陽光照射条件が優れている立地の場合は、積極的に参入を検討してください。
20kw未満タイプの風力発電
そして、「風力発電」も有望な発電タイプです。風力発電の場合は、発電容量20kW未満タイプが売電単価も高く設定されています。
日照に恵まれた立地ではない企業の場合、風力発電への参入が望ましいケースもあります。風の強さは立地の高度でも大きく異なりますが、24時間発電できるというメリットは太陽光発電では得られません。
風力発電機器は、かつて高額であることも少なくなかったですが、国内外のメーカーが混在するようになったことで、これまでより低コストで参入可能になっています。売電事業は参入者が多くなれば売電単価も減るので、売電単価も高い現在がまさに絶好の導入機会です。
⇒どちらがお得? 太陽光発電で全量売電 VS 産業用蓄電池で自家消費
太陽光熱に対する新しい取り組みで経費削減
オフィスで節電を達成するには、まさに共存の関係にある「消費」と「発電」ですが、普通に継続しているだけでは期待したような効果が得られないことも多いです。新たな取り組みでより節電をスムーズに進めてみましょう。
ここでは、企業にとってプラスにもマイナスにもなる「太陽光」への対策方法をメインに解説します。
太陽光からの熱は集熱システムによって再活用!
太陽光の明るさは発電に大きく貢献してくれますが、その熱に関しては、夏場は特に建物の温度が上昇する原因になります。しかし、最近は技術の進歩もあって、太陽光の熱も集熱して再活用できるシステムがあります。
それが「太陽光集熱システム」で、太陽光熱をボイラーなどの熱に利用することができます。発電システムと集熱システムは一見すると似ていますが、そのメカニズムは大きく異なり、一般的に集熱システムの方が導入費用も安価なことが多いです。
職場によっては熱水の使用頻度が低い場合もあるので、この場合は節電手法の一環として集熱システムが生かされないかもしれません。それでも、太陽熱交換によって一定の需要が望める場合は、ぜひ導入を検討してみてください。
外付けブラインドで太陽光や外気熱を効率的にシャットダウン
太陽光熱の再活用が難しい場合、単純に熱をどうにかしてシャットダウンする方法を考える必要があります。この場合も、現在新しい解決方法が提案されています。
その1つが「外付けブラインド」と呼ばれるものです。一般的に屋内取り付けられるブライドを、窓の外若しくは外壁に取り付ける画期的なツールです。
通常のブラインドの場合は、太陽光が一旦屋内に侵入することを防げず、一定の室温上昇が起きてしまいます。しかし「外付けブラインド」の場合、太陽光や外気熱を外部でシャットダウンできるため、断熱効率が格段に向上します。
家庭用タイプから企業用のサイズが大きいタイプもありますので、今後オフィス節電の強い味方になってくれると期待できます。再生可能エネルギーによる発電だけでなく、このような太陽光熱を上手に再活用、遮断する仕組みを取り入れれば、さらなる節電効果を生み出すことも可能でしょう。
あなたのオフィスでも、さらなる節電対策を進めてみませんか?