電力自由化により、いま「全国規模」で高圧・特別高圧の新電力の比較・切り替えが進んでます!

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2017年、電力自由化バブル到来か? 電力自由化の最新予測と課題

蓄電機器 専門家新電力

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<2017年度 電力市場>最新予測と2つの課題
株式会社グッドフェローズ 電力コンサルタント 中後有史

電力自由化は失敗した?

2016年4月に一般家庭向けの電力自由化がスタートしましたが、半年以上が過ぎた今でも、全世帯の4%弱しか電力会社の切替えが行われていません。

世間では「電力自由化は失敗した」とも言われています。しかし、電力自由化は本当に失敗だったのでしょうか? 2016年内にも一般家庭向けの低圧市場では、約250万件が電力会社を切り替えるだろうと予想されています。
高圧・特別高圧の専門家として言わせていただくと、低圧市場での4%の切替率は決して悪い数値ではありません。

なぜなら、電力市場に参入した新電力が主戦場としているは、実は低圧市場ではなく高圧市場だからです。

新電力の主戦場は、高圧市場

私が担当している新電力は、一般家庭への電力販売には注力せずに、高圧・特別高圧の電気を法人企業に販売している企業ばかりです。

一般家庭向けの電力供給に参入している新電力の多くは、自前のベース電源を持たないため、JPEX(日本卸電力取引所)から電気を仕入れたり、ベース電源を保有する大手新電力から電気を調達したりしています。当然、そういった新電力の電気料金に価格競争力はありません。

それでも新電力が電気の小売りに参入したのは、電気の販売だけでなく、自社の本来の商品・サービスをセットで売り込むためです。

一部のメディアが電力自由化の失敗をニュースにしていますが、全く失敗ではありません。そもそも電力業界、新電力がもっとも注力しているのは、一般家庭向けの低圧市場ではないからです。新電力がもっとも注力しているのは、法人向けの高圧・特別高圧市場です。

私も毎月数百件の法人様からお問い合わせ頂きますが、そのうちの約93%の法人様が、既存契約よりも電気料金が安くなり、最大で約3割も電気料金を削減しています。年間7,000万円も安くなることもあります。

一般家庭で年間1万円の電気代が安くなるといった話題は、ニュース・雑誌などでよく聞きますが、法人の電気料金削減が年間7,000万円も安くなるというニュースはほとんど聞きません。

しかし、実は電力自由化は法人を対象に着実に浸透しており、2017年度には法人の電力切り替えがさらに加速するでしょう。つまり、2016年度は電力自由化による電力切替えブームではなく、来年度の嵐の予感さえ感じさせる年と言えます。

進む新電力の発電所建設ラッシュと2つの課題

皆さんはこのような記事を新聞でよく見ませんか?

「●●電力が、○○に何十億で●●発電所を建設中」

現在、既存電力会社以外の新電力がいろんな地域に様々な発電所を計画して、建設ラッシュになっています。太陽光発電・風力発電の大型発電所なども大量に購入しています。

これは、新電力が多くの大口需要家との契約しており、自社ベース電源では足りなくなり新たに自社発電所を建設しているからです。

高圧の電力切替率は来年度も今年の2倍に上昇し、2017年には全体の20%である“5社に1社”が、2020年には全体の50%である“2社に1社”が、新電力に切替える時代が来るでしょう。

このような電力市場において、私は2つの課題があると考えています。

1. 法人への健全な営業ルールの確立

特別高圧・高圧市場は現在、戦場のように顧客の取り合いになっています。

法人への営業のやり方に一定のルールを設定し、厳格に監査する機関が必要ではないでしょうか?

さらに、ルールを作るだけでなく、各電力会社が同一のルールで営業することを守るための制度が必要です。
ルールが守られていない場合はペナルティとし、電力市場の健全性を保つことが重要です。

2. 新電力の一般家庭向け低圧市場への本格的な参入

特別高圧・高圧市場に参入している新電力が、一般家庭向けに電気を販売することに本気になれば、一般家庭の電気料金は今よりも大きく下がるでしょう。

新電力の本格的参入を実現するには、特別高圧・高圧市場における競争が一巡しないと厳しいと思われます。特別高圧・高圧市場で勝ち残った新電力がベース電源を全国に建設し、価格メリットが本当に打ち出せるようになるのは、2018年以降になるかもしれません。

一般家庭向け太陽光発電を保有している企業を買収するなど、新電力間でのM&Aも増えてくるでしょう。このような状態を鑑みると、低圧市場は2020年に30%いけば大成功と言えます。

ですが、今のままでは15%も難しい状況です。

電力市場を活性化するための起爆剤として、私は、IoTによって家庭内の情報機器、家電、電気・ガス・水道などすべてをインターネットで制御することにより、「見守り・介護・セキュリティ」を包括的に提供できる電力会社の参入を期待しています。

新電力は電気料金の圧倒的な価格差でメリットを打ち出すことは困難であり、高齢社会が進む日本社会において、このような電気料金以外の付加価値を提供できる新電力の参入が大きな課題です。

2017年は電力自由化業界にとって大きなバブルの幕開けとなるでしょう。
ただ、利益追求型ではなく・省エネ・地産地消・その他の付加価値を提供できる新電力に、私は期待します。

電力自由化の予測

  • 2017年~ 特別・高圧市場の電力自由化がバブル
  • 2018年~ 電気の本格的見える化によりピークカット・ピークシフトを活用した省エネ機器が一般化
  • 2019年~2020年 低圧の電力会社の切替率が23%に達する

「電気は人を導き、家庭・オフィスを幸せする必要不可欠なものである。」

これが私の持論です。

電気料金を含む光熱費の削減は、そのまま会社の営業利益に直結します!

電力会社を切り替えられた企業様の多くが、来年度の予算で管理コストをどれだけ抑えられるか?
皆様からの喜びの声を聴くのが、私は今から楽しみでなりません。

この記事を書いた人

中後有史
中後有史株式会社グッドフェローズ 電力コンサルタント
株式会社グッドフェローズで電力コンサルタントに従事。
太陽光発電・風力・蓄電池等の一括見積もりサイトを運営するグッドフェローズのコールセンターにて、住宅用・産業用太陽光発電の設置に関する顧客相談窓口のリーダーを担当。現在は、法人向けの高圧電力専門コンサルタントとして、大手企業の管理部門担当者や中小企業の社長様まで幅広く担当。新電力への切替アドバイス業務(選び方・シミュレーション・負荷率)に携わっており、納得度の高いマッチングを得意とする。

この記事の執筆・監修者

佐伯 淳二

佐伯 淳二株式会社グッドフェローズ 代表取締役副社長|太陽光発電専門家

富山県出身。海外でMBAを取得後、2009年、株式会社グッドフェローズに参画。
情報メディア「タイナビ」シリーズを立ち上げ、自ら記事執筆者として、家庭用太陽光から産業用、蓄電池、発電所売買まで幅広くカバー。
結果、国内再エネ設備72万件の約11%を非住宅用「タイナビ」会員が占めるなど、原発10基相当分の再エネ化へ寄与。
BSテレ東「日経プラス」出演を筆頭に、共同通信社や大手マスメディアの取材多数。
現在、自社メディア会員数14万人を突破。NTTスマイルエナジー社「産業用エコめがね販売実績No.1」7年連続受賞。

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