どちらがお得? 太陽光発電で全量売電 VS 産業用蓄電池で自家消費
近年、技術の発展により、蓄電池は大容量でも低価格化しつつあります。
それに伴って、オフィスビルや病院、商業施設などにおいても、太陽光発電システムと同時に産業用蓄電池を導入するところも増えてきました。
では、産業用太陽光発電所で全量売電をしている場合と、蓄電池を導入して事業者が電気を自家消費している場合では、実際にどちらがお得なのでしょうか。これについて比較をしていきます。
FIT買取価格の推移と電気料金支払い額の推移
2016年、10kW以上の太陽光発電のFIT買取価格は、24円/kWh(税抜)まで下がりました。
2017年はさらに価格が下がり、21円/kWhです。FITでは、買取価格を20年間固定とすることが電力会社に義務付けられています。そのため、安定した収益が長期的に見込めることが魅力です。
一方、電気を自家消費した場合には、毎年変動する電気料金の単価が上がれば上がるほど、本来支払うべき電気料金との差が大きくなり、「お得」となります。産業用の電気料金は、東日本大震災の前の年に比べ約30%も上昇し、平均約18円/kwhになっています。
さて、今後、電気料金は上がっていくのでしょうか、それとも下がっていくのでしょうか……。ほとんどの方が、電気料金は上がっていくと思われているのではないでしょうか? だとしたら、電気を自家消費するメリットのほうが今後さらに大きくなることが予想されます。
自家消費 VS 全量売電時のシミュレーション
では、どのように電気を自家消費したらよいのでしょうか?
ここで少し電気料金の計算方法について勉強しておきましょう。
電気料金は大きく分けて2種類の電気料金の合算で算出されます。
基本料金と、従量制の電力量料金です。
1.基本料金:基本料金単価(税込)×契約電力×(185−力率)/100
2.電力量料金:電力量料金単価(税込)×使用電力量±燃料費調整額
簡単にいうと
1.基本料金:使用電力最大値に対して単価を乗算したもの
2.電力量料金:使った電気量に単価を乗算したものに燃料調整額を±された金額
※基本料金は今までの最大値を超過すればそこから一年間、基本料金は下がりません。
電気の消費者に請求される電気料金は、上記を元に算出されています。
こちらを頭の片隅に置いていただいて、皆さんにご紹介したいのが、私が所属している株式会社エネマンが開発したオフグリッドシステム「エネマン」です。
電気料金を下げるポイントをオフグリッドシステム「エネマン」では、電気料金を下げるポイントとして3つを重要視しています。
エネマンが考える電気料金を下げる3つのポイント
1.空調機などのデマンド制御による基本料金と電力量料金の削減
2.蓄電池出力によるピークカットで基本料金の削減
3.太陽光発電の自家消費による電気購入量の削減
以上の3つのポイントを重視手、徹底した電気料金の削減を実現させます。
では、エネマンを導入した際のシミュレーションをしてみましょう。
エネマンのシミュレーション事例
【電力使用状況】東京電力管内A工場
・年間の電気料金:約2323万円
・最大電気使用量:319kW
・基本契約料金:53万7451円
・空調機5?W出力の物を8台使用
【ENEMANシステム】
・蓄電池容量:26kWh
・三相出力:20kW
・太陽光発電:30kW
・デマンドコントロール:空調室外機8台の出力制御
・総導入コスト:1660万円(税別)
※補助金がなしの場合
【エネマンによる削減効果】
電気料金:2323万円→2133万6000円(−189万4,000円)
投資回収期間:9.47年
※仮に総導入コスト1660万で全量売電型の太陽光発電を設置した場合
次に、太陽光発電した電気を全量売電した場合のシミュレーションを見てみましょう。
【全量売電した場合】
・太陽光発電設置容量:約66kw
・売電単価:24円
・投資金額:1660万
・年間売電収入:168万円
・投資回収期間:約10年
投資回収期間で比較すると、オフグリッドシステム「エネマン」を導入して自家消費型で電気料金を下げた場合は9.47円、太陽光発電で全量売電した場合は約10年とほぼ同じです。
もちろん、電気料金単価が値上がりすればするほど、エネマン導入による削減メリットがより高くなります。また、蓄電池の電気は災害時には非常用電源として使うことも出来ます。
最後に、エネマン導入で目指すこと……
上記の削減効果をご覧の通り、産業用蓄電池を導入することで、年間189万4,000円もの削減効果を見込めます。投資回収期間は平均9.47年となり、これは年々買取価格が下がっている売電による投資回収期間と比べると、非常に短いと言えるでしょう。
エネマンの本当の狙いは再生可能エネルギーを自家消費すること、そして、環境問題と地方創生にしっかりと取組んでいくことです。
日本はエネルギー自給率6%の国です。発電するエネルギーの殆どが化石燃料で輸入に頼っている状況です。私たちが電気を使うたびに海外にお金が流れていくのです。
ところが、再生可能エネルギーを地産地消することによって海外に流れていくお金が地域に流れ雇用が生まれ地域経済が活性化させることが出来ます。
「太陽光発電は基幹電源へ」
蓄電池は太陽光発電を基幹電源に成しえるデバイスである。
この記事を書いた人
- (株)光システムの専務取締役として東北エリアを中心としたメガソーラーのEPC案件・グリーンニューディール補助金を活用した独立型太陽光発電システムの導入を公共向けに100件以上携わる。
2015年に再生可能エネルギーを活用した最新型オフグリッド蓄電池システム“eneman(エネマン)”の開発の為に、株式会社エネマンの立ち上げプロジェクトに参画する。エネルギーを自動制御することにより、自家消費型太陽光発電で投資回収期間8.5年を実現したエネマン開発に成功。現在は株式会社エネマンの営業統括部長として、営業戦略の立案・実行に従事している。
株式会社エネマン(http://www.eneman.co.jp/)