特別高圧とは? 法人の電気料金を最適化する基礎知識
電力自由化は、2016年以前にすでに工場や企業向けに開始されており、2016年からは一般家庭向けにも開始されました。
工場などに向けた電力自由化は、当初は特別高圧と呼ばれる区分の需要に対する自由化のみが行われ、それが対象となる範囲が拡大され、現在は50kW以上なら新電力会社からも電力購入が可能となっています。
現在電力自由化により、低圧・高圧・特別高圧という3つの区分で自由化が許可されています。
そして特別高圧は、電圧区分の中でも特に高圧であり、大規模な設備を必要とします。
今回は、特別高圧について考えてみたいと思います。
特別高圧・高圧・低圧の違い
電力会社の供給電圧の違いによって、電圧は低圧・高圧・特別高圧の3つに分けられています。そして特別高圧は、受電電圧が20,000V以上で、さらに契約が2,000kW以上の場合に該当します。
20kVでもそれ以上の35kVや60kVでもすべて特別高圧に分類します。
電力会社のメニューとしては、20kVと60kVが標準で用意されています。
運用には必ず電気主任技術者を配置しなければならず、20kVであれば第三種電気主任技術者、60kVであれば第二種電気主任技術者が必要となります。設備の規模によって特別高圧電力Aと特別高圧電力Bに分けられており、特別高圧電力Aはデパートやオフィスビルや病院などのことであり、特別高圧電力Bは大規模工場のことになります。
当然設備も低圧や高圧よりも高価であり、維持管理費も膨大となりますが、電気料金メニューとしては従量料金が安く設定されている場合が多いです。
特別高圧の電線路は特に安全に関しての規制が厳しく定められており、導体が絶縁されていないことが多いために、空中放電発生のおそれがあるので、感電や災害防止のために離隔距離が定められています。
特別高圧を使用する設備
特別高圧を使用する設備は、上記のように企業や工場となります。
国内で使用されている特別高圧受給電圧は、20kV、30kV、60kV、70kV、140kVがあります。
電圧区分は、
- 2,000kW以上~10,000kW未満 = 20kVまたは30kV
- 10,000kW以上~50,000未満 = 60kVまたは70kV
- 50,000kW以上 = 140kV
このように定めている電力会社が多いです。
工場やビルでどの電圧を使用するかは、通常は近くの送電線で余裕のある線を使用します。
工場やビルは、家庭と違い24時間稼働して電気を必要とする設備も多いので、停電して長い間電気が使えないとなると、大変なことになる場合もあります。
そのために、出来るだけ信頼性の高い線を使用したいという場合もあります。
例えば、救急病院で1,700kW契約し、通常は高圧で契約して電気を使用する予定ですが、近くの変電所の需要が逼迫していたために、急遽特別高圧にして契約をしたというような例もあります。
また違う例では、特別高圧で契約していても、近くにその電圧で送電できる変電所が無い場合は、高圧設備用の変電所から送電するというような例もあります。
ちなみに特別高圧を使用する設備を設置している工場などの事業所では、安全のために従業員の方に講習会を受けさせることを義務づけられています。
電気保安協会などで講習会が開かれていますので、必ずそのような場所で講習を受けなければなりません。
特別高圧を使用する場合に必要なもの
特別高圧はその名の通り電圧が高く、大規模な工場などで電力を使用するときに使います。
電気というのは、その導体の抵抗があるために、大量の電流を流そうとすると抵抗もそれだけ大きくなります。
そこで工場などで電気を大量に使う場合は、電圧を上げれば沢山の電流が流れることとなり、特別高圧という一般家庭では考えられないぐらいの高圧の電気になるのです。
特別高圧を利用する場合には、まずは送電線を直接工場などに引き込み、変電所を介して工場に電気を流す必要があります。
送電線を引き込むにも鉄塔などの支えが必要です。
そして変電所などの設備を維持するのにも、専門の電気技術者を雇わないと設備を稼働させることは出来ません。
ビルでも工場でも特別高圧を利用するには、大規模な設備投資が必要なのです。
設備の維持や管理が困難な場合は、最大3,000kWまでは6,000Vの高圧を、一般の電柱の電線から購入することも出来ます。
特別高圧の取扱について
特別高圧は、とても高い電圧であり、一般家庭で使用している電圧とは比べものにならないぐらい高いです。
高いと2万ボルトを越えるような場合もあり、これほど高い電圧なので、人の手に触れるところにはありません。
街の外れなどに鉄塔などがあり、そこに電線が張られていますが、そのようなところに特別高圧の電気が流れています。特別高圧には誘導電流というものがあり、電線に触れなくても近づくだけで感電します。
そのために法律で特別高圧の電線は、必ずいくらという距離が定められ、それ以上離して設置しないといけないという決まりがあります。
電圧によっても違ってきますが、電線を中心として半径2mぐらいまでは、近づくだけで感電します。
感電したら黒こげになるのは間違いないです。
特別高圧のような送電線も時には点検をしなければなりません。
しかし近づくだけで感電するので、6,600V以下では2m以上、30,000V以下では3m以上離れることが推奨されています。点検時も送電線に電気は流れていることがありますので、この距離だけ離れて作業はします。
特別高圧では、絶縁用防具などは役に立たず感電してしまいます。
そこで活線作業用器具を使用し、一定の距離を保って作業をします。
活線作業用器具はカーボンなどで出来ているので、電気を通さず、このような道具を使い送電線に触れるのです。
もしも道具が使えないような場所では、活線作業用装置を使用し、これは機械であり遠隔操作して使うのです。
そして作業時は、距離がわかるようにロープを張ったり標識を付けたりして、距離が目に見えるようにして点検を行います。
特別高圧などの電気を扱う場合は、労働安全衛生規則に規則があるので、それにも従います。
特別高圧を使用する場合に電気代を安くする方法
特別高圧を使用している場合は、以下のケースで電気代が安くなります。
需要を1つにまとめる
たとえば、ピーク電力が300kWであった場合、ピークの時間帯が朝と夕方という2つの電力を使用しているとしたら、これらを1つにまとめると基本料が下がります。
複数の電源から同時調達する
一定量のベース電力と、変動するピーク電力を分けて別々の電気会社から購入するれば、合計の電気代が安くなることがあります。
マンションの全戸分を一括送電する
区分所有者ごとに契約をしているようなマンションでは割高となりますので、それをまとめて購入し一括送電すると、電気代が安くなります。
特別高圧の場合も、東電などの主要電気会社では、それぞれ料金プランがあり、基本料金などが提示されています。
もしも電気代が安くしたいと考えているなら、一度契約している電気会社に相談すると、電気代を安くできるかもしれません。
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