オフィスの節電を効率化する3つの方法
節電効率化ができていない企業によくある特徴は、従業員の節電に対する意識の低さです。オフィスの節電を成功させる基本は、従業員に電力消費の実態を周知してもらい、節電に対する意識を高めることです。また、オフィスの節電を効率化するには
- 電力消費が大きい部分からまず改善
- 電力消費量ピーク時間帯の電気使用を抑える
- 日常業務の改善
といった3つの方法があります。それぞれ詳しく説明します。
オフィスの節電効率化の基本は電力消費量をオープンにすること
オフィスの節電を効率化するには、電力消費量の構成を把握することが必要です。つまり、毎月の電力消費の中で、何に電気代が多くかかっているかについて把握しなければなりません。
オフィスの責任者は財務から電力消費の分析を受けて把握していても、これを一般スタッフにまで認識させている企業は稀です。人間は、自分の収入の中で使うものに対してはできるだけ抑えたいという意識が働くものですが、自分に負担がないものに対しては管理意識が薄くなりがちです。
しかし、オフィスの節電効率化を本気で図っていくならば、電力消費の実態をスタッフにオープンにし、コストに関する危機感を持たせることが必要です。
従業員の節電意識を高めた上で、次に挙げる3つの方法で節電の効率化を図っていきましょう。
1.電力消費が大きいものから改善してオフィスの節電効率化
どの機器の電力消費を改善すべきか悩む方も多いようですが、理屈としてはとてもシンプルです。電力消費が大きいものから改善を実行してください。一般的に、オフィス内で電力を多く消費するであろう3つの項目をチェックしていきます。
エアコンの設定温度を改善する
何よりも大きな改善点は「エアコン」です。エアコンの電力消費は、一般的に全体の4割以上はあると言われています。
エアコンの室温調整によってかなりの節電効果を生み出すことも可能です。体感温度により差があるでしょうが、夏は室温を28℃に設定することで電力消費を抑えながら十分快適に過ごすことが出来ます。
エリアによっては28℃の温度設定では少し暑く感じることもあるでしょうが、1℃室温を下げると電力消費が10%ほど上がってしまうと言われています。しかし、我慢しすぎて業務に支障をきたしたり、体調に悪影響が及んでしまっては元も子もありません。
この場合強い味方となるのが、サーキュレーターのような冷気を循環させる機能をもつ機器です。これを活用すればある程度の広さであれば、冷気が隅々まで行き渡り、低すぎない温度設定で心地良さを維持できます。
照明類の節電意識を高める
エアコンの次に消費電力が大きい項目は、「照明」や「共用部分」であるオフィスが多いでしょう。
「照明」や「共用部分」では、必要がない時も電気を使っている場合が多く、思わぬ消費がかさんでしまっているケースが多いです。短い時間の使用であっても、塵も積もれば山となりますので、合算すると高い消費量になる傾向があります。
照明は、一般的にオフィス全体の電力消費中20%以上を占めると言われます。従業員もエアコンへの節電意識は高くても、照明の節電には意識が低いことも多いです。
昼間は太陽の光で明るく照明をつける必要がない場合でも、つけっぱなしにしているオフィスは意外と多いです。トイレなど、来客者も多く利用する場所では特に照明のつけっぱなしが目立ちます。
また、日中に日当たりがかなり良い会議室などでも照明をつけるケースも多いです。これらの無駄は少しの努力で省くことができます。こまめな照明のオン・オフを今すぐに実践しましょう。
共用部分の電気代を改善する
意外に無駄な電力消費が発生しやすい共有部分にも注意が必要です。
例えば、1階や2階を上り下りするのにエレベーターを使用する従業員が多いケースです。1階に降りるのに2階や3階でエレベータを使用するスタッフがいると、それだけでも無駄な消費電力が発生します。
また、規模の大きい企業になると専用ルームでサーバーの管理をしますが、夏場に必要以上にエアコンをかけ、むしろ寒いことも少なくありません。
サーバーは、冷やしすぎると逆に悪影響を与えてしまい、故障しやすくなることは意外に知られていません。エアコンの温度設定を1℃上げるだけでも、節電効果が期待できます。
2.電力消費量のピーク時間を把握してオフィスの節電効率化
節電効率化のキーワードは「ピークカット」と「ピークシフト」!
オフィスの節電を効率化するための重要なキーワードに、「ピークカット」と「ピークシフト」の2つがあります。
ピークカット | 電力消費ピーク時間帯における緊急性のない電力の使用を無くす(カットする) |
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ピークシフト | 電力消費ピーク時間帯における緊急性のない電力の使用を移動(シフト)する |
「ピークカット」とは、1日のうちの最も電力消費の多い時間帯に本当に必要な電力だけを使い、緊急性の少ない電力使用を「カット」するという考え方です。一般的にピークカットを徹底的に進めることで、消費電力を40%カットすることも可能だとされています。
「ピークシフト」は、1日の電力消費のピーク時間帯に行う業務の中から、他の時間帯に移すことが可能な場合にその業務を「シフト」するという方法です。ピークシフトの大きな目的は、ピーク時間帯での停電を防ぐことです。
ピークカットと組み合わせることで、停電のリスクを減らしながら電力消費も抑えることになり、効率的に節電が実現されます。
3.業務改善でオフィスの節電を効率化
日常業務を再度チェックし、業務改善をすることで、効率的な節電が達成できるケースも多いのです。ここでは業務改善による節電ケースを見ていきましょう。
夏場はサマータイム制度を徹底して奨励する
温暖化による平均気温の上昇が一般的となった現在、いよいよ「サマータイム制度」の重要性が増してきたと言えます。サマータイム制度とは、夏場の始業・就業時間を1時間程度早め、日照時間を有効に使うことで節電につなげようとする制度です。
夏場は午前中は涼しく、午後は一気に熱くなります。そのため、サマータイム制度を奨励し、早めの出勤を習慣づけさせればエアコンの電力を抑えることが出来ます。また、明るい時間帯に就業することで照明の使用を抑えることも可能です。
一方で、現在はフレックスタイム制度の普及によって、早く出勤することの重要性を以前ほど主張できなくなっています。そのため、早めに出勤して仕事をする従業員には、待遇の改善を行うなどして工夫することが必要です。
OA機器のコンセントを毎日抜いて退勤する
OA機器は、次の朝すぐに立ち上げられるようにコンセントが入れっぱなしであることが多いです。
また、電源を切ったつもりで待機状態になったままのこともあります。待機状態でも消費電力は発生するため、無駄な電気代がかかってしまいます。
毎日の退勤時に必要な機器以外のコンセントを抜くことでこのようなことも防げるため、節電に繋がるのです。
オフィスの節電効率化には、従業員の意識を高めることが基本です。その上で、電力消費が大きい機器や電力消費ピーク時間帯の電気使用を見直し、業務改善などを行うことでより効率的に節電を進めることが可能です。
オフィスの節電効率化のためにぜひ実践してください。