使用しない資産は企業の経費削減に大敵! 再活用と廃棄で対策を
多くの事業体が抱えている「資産」。その中には、流動性の高い資産だけでなく、時間経過と共に劣化や質が低下してしまう資産もあります。また、多くの事業体ではそのような悩みが多い資産を維持しており、経費削減の大敵ともなっているでしょう。
現在は良い資産であっても、近い将来「負の資産」になり兼ねないリスクは、どの事業体でも抱えています。しかし、企業としてはこのまま指をくわえて黙っている訳にはいきません。今回は、使用頻度が低い資産が「負の資産」にならないようにすることが、総合的な経費節減にスムーズに繋がる流れを詳しく説明していきます。
使用頻度が低い資産維持は節電に大敵!
職場だけでなく個人で抱えていることも多い、あまり使うことがない資産。しかし、深刻な問題は資産維持そのものよりも、そのような負の資産を有していることに対する自覚がないケースです。
言い換えれば、取り急ぎ使用頻度が低い資産の洗い出しと確認が必要だということです。その上で相応の対策を打たなければならないでしょう。ここでは、企業内で使用頻度が低くなりがちな代表的な資産をチェックしていきます。
高い費用で購入したにも関わらず使用頻度が低すぎる各種機器
まず、企業内で目立つ負の資産は各種業務用機器です。メーカーの場合は製造機器が代表的ですが、通常のサービス事業体でも測量や梱包に使う機器などが当たり前に存在しています。
しかし、これらの機器は、多くが高価なものでありながら、購入時に期待したような働きや動作機会に恵まれないケースも珍しくありません。年に1回使用する程度の機器は、オフィスの倉庫にも1つや2つは埋もれていたりします。
また、長期に渡って未使用な場合は、購入担当者自体がすでに退職や転職などしていることもあり、使っていないことが分かったとしても放置され続けるケースもあります。購入価格が高いものほど、使わないのに保管に管理費だけが掛かってしまい、無駄も大きくなってしまいます。
仕入をしてから既に数年間動いていないデッドストック
仕入れは多くの企業で欠かせない業務ですが、どの職場もすべて売り切るという前提で仕入れるはずです。しかし、残念ながら在庫が売り切れることがなく、デッドストックとなるケースは多くの職場で見られる事態です。
デッドストックは複数年に渡ることも多く、年を跨いでも売り切れないものは、一般的に食品でなくとも売り切ることが難しくなります。現在は商品に対するニーズも目まぐるしく変わることも多いですが、倉庫に保管するスペースは相変わらず確保しなければなりません。
海外にも販路を持っている企業は別ですが、そうでなければ年数が経つほど経費削減の妨げになってしまいます。
負の資産を維持することで発生する無駄な経費って何?
企業によっては、資産を持ちつづけることはメリットだと思い込んでいることも多いです。これにより、実際に無駄な経費が発生しているのに問題視してないケースも多くあります。
あまり使用しないにも関わらず、資産維持を強引に継続すると具体的にどのような経費がかさんでいくのでしょうか?ここでは、長期維持によって一般的に発生しやすい経費をご紹介します。
管理費として無駄な人件費と電気料金が掛かる
倉庫に眠っている在庫資産には、定期的な棚卸が必要になります。棚卸の作業は一体だれがやるのかと言うと、当然その企業に勤めるスタッフによって行われることが多いでしょう。
普段は使用することも出荷で動くこともほとんどない在庫でも、点数確認のため棚卸は必ず行わなければなりません。つまり、在庫としてある以上は必ず人による管理が必要となり、人件費が自ずとかさんでいくということです。
また、倉庫の維持には照明や空調などの使用も避けられません。良質な資産の場合は電気料金によるコストパフォーマンスも良くなりますが、売れない在庫に掛かる電気料金は無駄な出費であることは間違いありませんね。
財務上では余計な税金の支払いが生じやすくなる
財務上では、資産はその質を問わずプラスになるものとして扱われます。つまり、企業が上述のデッドストックのような流動性の低い資産を多く有していても、プラスの資産を持っていると帳面では見なされるのです。
これにより、年度末になれば企業価値は下がらないままになりますので、負の資産分に対する税金は掛かり続けることになります。抱えている在庫で利益を生まなければ不良資産に他ならず、税金の支払いはまさに経費の無駄遣いに他なりません。
そのため、使用頻度が極めて低い資産の維持は、トータルで収益性を圧迫する存在となることが分かります。
ほとんど使用しない資産を削減・再活用する方法
使用頻度の低い資産は、節電や経費節減のためには、削減若しくは再活用といった対策を早期に打ち出す必要があります。
「在庫を持っていればいつか売れる」という気持ちは理解できますが、複数の販路を有している段階で在庫が動かないという状況は、市場ニーズがないと判断すべきでしょう。ここでは、負の資産を処分・再活用する方法について解説します。
可能であればニーズに応じて同業者へ売却する
モノの流通は昔と大きく異なり、店に行かなくてもネット上で手に入れられる時代となりました。それと同時に誰もが所有物を売却できる時代となり、「物品売買は一部の人がやる」というかつての概念が崩れつつあります。
企業にとって「負の資産」となりがちな使用頻度が低い資産についても、ネット上であれば一定のニーズを把握して売却できる可能性も決してゼロではありません。
特に、同業者の場合は扱う商材が類似していることも少なくないので、ネット上で同業者向けに売却を進めることも管理費を削減する方法の1つです。ただし保管年数が著しく経っている在庫は、売却も難しくなるでしょう。
思い切って廃棄処分することも経費節減の手っ取り早い方法
上述の売却は1つの「再活用」と見ることができますが、その機会も逸してしまった場合は「廃棄」することが無難です。
その時点まで保管にかかった経費は取り戻すことができません。しかし、思い切って廃棄することで、その後発生する人件費や電気料金を削減することはできます。
もちろん、廃棄に掛かる費用は経費として計上することになりますが、ランニングコストを抑えるための意義ある経費です。しかし、この方法は経営者や管理者によってタイミングの判断基準が大きく異なり、企業としてメリットがあるかどうかを事前に慎重に考慮する必要があります。
購入時は将来的に使用低頻度にならないような計画性を
使用頻度の著しく低い資産を維持するリスクを考えると、「購入」自体を慎重に進めなければならないことは明らかですよね。
そのため、企業としてモノの購入にあたっては、将来的に低頻度の使用に陥らないという見込みが必要になります。そのため購入担当者は、しっかりした計画性を以て購入を決める責任があります。
即購入ではなくレンタルやリースで解決できる可能性を考慮する
せっかく高い費用を掛けて購入したものが「負の資産」状態に陥るのは不本意ですよね。
そのため、企業としては仮に必要なモノであっても即購入という選択をしないことも重要です。購入の前に、レンタルやリースで解決できないかを必ず考慮しましょう。まとまった資金の支出がなくなりますのでキャッシュフローが良くなるメリットがあります。
多くの利益が出る見込みがあれば購入も問題ないですが、現状の財務状態を一気に悪化させてまで購入することはありません。巨額負担のリスク分散という意味では、資産にせずとも毎月レンタルやリースにするほうが安全でしょう。
家具類などの購入は移動しやすい組み立て式のモノを選ぶ!
資産でも在庫など仕入れたものは別にして、「負の資産」になる傾向が高いモノの共通点は、サイズがかさばりやすいという点です。すべてのモノにこの理屈が当てはまる訳ではありませんが、少なくともサイズが大きいと処置に困ることは多くなります。
オフィス内で使用するものとしてデスクや棚などの家具類がありますが、これらを購入するのであれば、ぜひ「組み立て式」タイプを選んでください。なぜなら、組み立て式タイプであれば万が一必要なくなっても一旦崩すことが可能で、狭いスペースに収納できるからです。
また、このように組み立ててバラせるものは、売却によって再活用しやすくなるでしょう。
使用頻度が低い資産については、再活用や廃棄によって経費削減に繋げましょう。また、購入時にはよく考慮して将来的に無駄が生じないようにしましょうね。