法人・高圧も電気料金削減が可能!新電力へ切り替えるデメリットはある?

電力自由化にともない、新電力へ切り替えを行う法人が増えてきました。法人の特別高圧や高圧電力も、電気料金が大幅に減らせる可能性があります。しかし、電力会社を切り替えることで、何かデメリットがあるのではないかという不安はないでしょうか。
今回は、新電力とは何か、新電力へ切り替えるメリットとデメリットを解説します。この記事で、デメリットにどう対処するべきかわかるでしょう。
新電力と一般電気事業者との違いや切り替えるメリット
電力自由化前は、エリアによって東京電力や関西電力などの一般電気事業者が電力事業を独占していました。しかし、自由化後、電力小売事業を行う新電力が登場しました。新電力と一般電気事業者の違いは何なのでしょうか。ここでは、新電力へ切り替えるメリットや主な法人向け新電力会社を紹介します。
新電力と一般電気事業者との違い
一般電気事業者とは、電力自由化になる前から電気の小売事業を行っていた電力会社のことです。北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10社を指します。
これらの電力会社は発電と小売に加え、送配電も行います。電線など電力供給に関わる設備を所有・管理し、停電などに対応します。
新電力とは、電力自由化後に電気の小売事業に参入した電力会社のことです。以前は特定規模電気事業者、PPSとも呼ばれていました。
電力小売だけを行う新電力も多いですが、火力や再エネなどの発電事業を行う事業者もあります。新電力の電気料金プランを契約するときも、大手が所有する送配電設備で電気が供給されるので、停電リスクなどは従来と変わりません。
新電力へ切り替えるメリット
電力自由化後、従来の電力会社から新電力へ計画を切り替えることが可能となりました。法人も自社の電力使用状況に合わせて電力会社を選ぶことで、電気料金を安く抑えられる可能性があります。
事業のCO2排出量を抑えるのに、地域と再エネをアピールポイントにする新電力を選ぶ選択肢もあります。地方応援や環境経営など、経営方針に合う電力プランを選べることもメリットです。
さらに、全国展開する企業では、全事業所で同じ電力会社に統一することもできます。電気料金の支払いを一括で処理できるため、事務の効率化につながります。
主な法人向け新電力会社
新電力の例として、大手の法人向け新電力会社3社を一覧で紹介します。
名称 | 概要 | 供給エリア |
---|---|---|
株式会社エネット | NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの共同出資による新電力会社 | 北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州 |
株式会社Looop(Looopでんき) | 太陽光や風力、水力などの自然エネルギーをメインとした新電力会社 | 北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州 |
株式会社F-Power | 新電力での電力供給量がもっとも多い新電力会社 | 北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州 |
電力小売事業には、ガス会社や通信会社、商社など多種多様な業種が参入しています。新電力によって取り扱う電力区分や供給エリアが限定されるケースがあるため、事前に確認が必要です。特に、離島では供給エリア外となることもあります。
料金プランやサービス内容も事業者によってさまざまです。事業所ごとに見積りを取って、自社に合った新電力を選ぶ必要があります。
新電力への切り替えに関する不安とは?

新電力への切り替えにあたり、電力の安定性に対する不安もあるかもしれません。しかし、このことで電力供給が不安定になるというのは誤解です。ここでは、安心して新電力を使えるように、誤解されがちな不安を挙げていきます。
電力の安定供給は可能なのか
新電力切り替えで誤解されがちなのは、電力供給が不安定になるのではないかということです。
新電力へ切り替えても、電力供給の安定性は変わらず、停電が増えるようなリスクはありません。災害で停電が起こった場合も、復旧までの時間は従来の電力会社と同じです。
電力自由化により変わったことは小売事業のあり方だけで、電力供給の仕組みはこれまでと同じだからです。停電はどの電力会社を利用していても同じように発生します。利用している電力会社によって、停電するかどうかに違いはないのです。
新電力が電力を供給できなくなった場合も、各エリアの電力会社から電力供給されることになっています。
倒産した場合電力の供給はどうなるのか
電力小売事業者として登録するには、登録申請をして審査に通過する必要があります。とはいえ、参入している企業は大手とは限りません。会社によって資本金や事業規模、経営状況などが異なります。そのため、電力会社が倒産する可能性もゼロではありません。
新電力が倒産した場合、電力の供給がストップするのではないかという不安も聞かれますが、実際に停電することはありません。万一倒産しても地域の電力会社が代わりに電気を供給します。ただし、倒産した場合は契約した料金プランは適用されず、地域の電力会社やほかの新電力と新たな契約を結ぶ必要があります。
新電力へ切り替えるデメリットはあるのか
電気代削減や新サービスの利用など、新電力は消費者にとって選ぶメリットがあります。しかし、新電力のデメリットにも目を向けてみることが大切です。ここでは、電力会社の選定や契約内容におけるデメリットを挙げます。
最適な電力会社を選ぶのが難しい
新電力にはさまざまな料金プランやサービスがあります。数多くあるサービスのなかから、どれを選べばいいのか判断が難しいのが実情です。料金プランの仕組みは電力会社によって異なるため、比較しづらいことがデメリットといえます。電力の使用状況に合わないプランを選択すると、かえって電気代が高くなる可能性もあるでしょう。
料金プランが複雑化していることも、選択が難しい原因の一つです。たとえば、基本料金は安くても単価が高い場合や、ほかのサービスと併用しないと割引にならないケースもあります。自社に合った電力会社を選ぶには、複数の会社から見積りを取って、比較検討することが大切です。
契約期間や違約金がある
もう一つのデメリットは、電力会社によって契約期間や違約金があることです。あらたに電力会社と契約する際、契約期間中は原則として解約できません。契約途中で解約すると、違約金が発生することもあります。
契約違約金の金額は数百円~数千円と電力会社によって変わるため、契約内容をよく確認することが大切です。
ただし、違約金の規定があっても、事務所や工場などの移転で電力会社を切り替える場合は例外となるケースが多いです。契約時には契約期間や違約金について、必ず確認しましょう。
新電力切り替えの不安やデメリットを解消するには?

法人向けの料金プランは、電力使用の状況に合わせて見積りを取る必要があります。その際、一社だけでなく複数の電力会社で見積りを取り、最適なプランを選択することが電気料金削減のコツです。とはいえ、複数の会社から見積りを取るには手間と時間がかかります。
しかも、複雑な料金プランを見比べるのは難しいかもしれません。そのため、複数社から見積りを取る場合は、一括見積りの利用がおすすめです。契約時には契約内容をよく確認し、契約期間や違約金の規定があるのかもチェックしましょう。