2020年に水銀灯が生産終了! ここでLED化するべき理由と初期費用をクリアする方法
水銀灯が2020年から製造禁止となり、今後はほかの照明器具への入れ替えが迫られています。新しく導入するなら、省エネやコスト面で優れているLEDがおすすめです。LEDは初期費用がネックになると悩む事業者も多いのですが、蛍光灯は代替にはなりません。
この記事では、水銀灯をLEDに変えるべき理由や、設備を刷新する初期費用の問題を解決する3つの方法を紹介します。
また、LED化はいつまでにすれば良いのか、経済産業省が推進しているカーボンニュートラルとの関係についても解説しますので、今後の参考にしてください。
なぜ水銀灯からLEDに切り替える必要があるのか
この項では、なぜ水銀灯が製造禁止になるのか、またLEDではなく蛍光灯への切り替えという選択肢はダメなのかなどについて解説します。
水銀灯が製造禁止となる理由
水銀は公害病を引き起こす有害な物質で、世界各国で規制が進められています。
2013年には「水銀に関する水俣条約」が締結され、規制値以上の水銀を使った製品は2020年以降に製造や輸出入が禁止されることになりました。
規制値を下回る蛍光灯の製造や輸出入は対象外ですし、2020年以降も水銀灯の使用自体は禁止されていません。ただ、将来的に製品を入手できなくなるので、早い段階で水銀灯以外の製品への切り替えが必要です。
蛍光灯への切り替えはダメなのか?
水銀灯の代わりにと、蛍光灯への切り替えも考えられるでしょう。しかし、蛍光灯は省エネ効果が低く、メーカーが自主的に生産終了を始めています。
水銀灯の切り替え先は、LEDが最適といえるでしょう。
照明のLED化はいつまでにすればいいのか?
省エネ効果のあるLED化を目指すのは、電力需要を削減することがカーボンニュートラルにつながるためです。
経済産業省が発表している「2050年カーボンニュートラルに向けたグリーンイノベーションの方向性」では、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを方向付けています。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルは、地球上に発生するCO2(二酸化炭素)排出量と吸収量を同じにすることで、実質的にCO2排出量をゼロにする考え方を言います。
地球温暖化に影響する温室効果ガスの中でも、二酸化炭素は最も大きな影響があるとされているため、温暖化防止にはCO2削減が欠かせません。CO2を吸収するために大きな役割を果たしているのは、主に森林や植物などです。樹木などは、光合成によって二酸化炭素を吸収し酸素を作り炭素を蓄えて成長します。
経済産業省が推進するカーボンニュートラル
経済産業省は、カーボンニュートラルへの方向付けとして「2050年カーボンニュートラルに向けたグリーンイノベーションの方向性」の中で具体的な戦略を掲げました。
例えば、鉄やセメントの製造で発生するCO2の削減や再利用の技術案や、太陽光発電システムと省エネルギー技術を活用する住宅などを推進する案などが盛り込まれています。
さらに、カーボンニュートラルを推進するには、電力の脱炭素化は大前提という方針も打ち出しました。各分野が脱炭素を目指すことによってCO2排出量をゼロにすることを目指すとしています。
照明のLED化は2030年までに
経済産業省は、2020年10月に2050年までに実現するカーボンニュートラルの取り組みについて、具体的な工程表を発表しました。
この中で、2030年には2013年と比較したCO2排出量を47%削減しながら、2050年にはゼロにする努力目標を掲げています。この工程表に沿うために何が起こるかわかりませんので、2030年までには照明をLED化するのがおすすめです。
蛍光灯を消費電力が少なく寿命の長いLED化することで、CO2排出量を減らしていきましょう。
省エネ&長寿命!水銀灯からLEDに替えるメリット
LEDには水銀灯に比べて省エネ、長寿命などのメリットがあります。水銀灯とLEDの特徴の比較は下記表になります。
水銀灯 | LED | |
---|---|---|
消費電力 | 400W | 100~130W |
光源寿命 | 3000~1万2000時間 | 4万~6万時間 |
見え方 | 自然光とは異なる | 自然光に近い |
点灯 | 点灯まで5~10分程度 | 瞬時に点灯 |
発熱 | 300~400度 | 80~90度 |
害虫 | 集まる | 集まりにくい |
水銀含有率 | 30%程度 | 含有なし |
LEDは、水銀灯に比較すると消費電力が30%程度であったり、寿命も水銀灯の約5倍です。また、発熱を抑えられるため、空調にかかる電気代を節約する効果も期待できます。ですので長期的には、LEDのほうがコストの削減が可能です。
電気代節約と補助金を活用!LEDの初期費用を補う方法
LEDへの切り替えは、工事費や電球の購入費などの初期費用がネックとなります。しかし、電気代の削減額や補助金の活用で初期費用を補うことも可能です。
LEDの省エネ効果で電気代が200万円も安くなる
水銀灯からLEDへ切り替えることで、消費電力をこれまでの30%程度まで抑えることができます。電気を1日5万W、8時間使用した場合に、どれくらい電気代が安くなるか計算してみました。(1kWhあたり20円とした場合)
水銀灯:5万W×8時間÷1000×20円=8000円(1日)
LED:1万5000W×8時間÷1000×20円=2400円(1日)
1日あたり5600円、1カ月で16万8000円、1年で201万6000円の電気代が節約できることがわかりました。LEDの初期費用を回収するためにも、電力コストの運用から見直してみてはいかがでしょうか。
LED関連の補助金を活用する
LED関連の補助金としては、地方自治体が行っている補助金制度があります。
そのほかに、地元の商工会や非営利団体などが行っている補助金制度がありますが、申請時期や地方によって実施している補助金制度が異なるため確認が必要です。
たとえば東京都品川区では「事業所用LED照明設置助成(令和元年度)」で、品川区内に事業所を有する中小企業者・社団法人・社会福祉法人・個人事業主などを対象とする補助金制度があります。
設置費用の合計が10万円(税抜)以上であることが条件で、設置費用の10%、上限30万円まで補助されます。(2019年5月時点)
電力会社の乗り換えで電気代を削減する
電力会社の切り替えによって、電気代を大幅に削減できる可能性があります。
実際に以下のような事例がありましたので、参考にしてください。
【オフィスビル】
契約電力91kW、年間使用電力13万2504kWh
新電力への切り替えで年間75万円の電気代削減
【工場】
契約電力2000kW、年間使用電力8781万240kWh
新電力への切り替えで年間1億5380万円の電気代削減
【病院・福祉施設】
契約電力784kW、年間使用電力232万2090kWh
新電力への切り替えで年間562万円の電気代削減
自社に合った料金プランや新電力会社を選ぶことで、LEDの初期費用をまかなうことが可能です。