再エネの電気はそんなに「高い」?電力会社各社の再エネプランを比較してみよう
CO2削減のために再エネ化を検討している企業も多いものの、再エネ由来の電気プランは高いと思われがちです。
そこで、この記事では電力会社各社の再エネプランとベーシックなプラン、新電力の再エネプランを比較してみます。
この記事を読めば、費用を抑えて再エネプランに切り替える方法がわかりますので、ぜひ参考にしてください。
再エネ由来のプランとは?
再エネ由来のプランでは、どの再生エネルギーで構成されているかという電源構成が示されています。
たとえば、四国電気の再エネプレミアムプランの電源構成(2019年度)は水力が99.5%、バイオマスが0.4%、太陽光が0.1%となっています。
再エネ由来のプランには、FIT電源はほとんど含まれません。なぜなら、FIT電源には「環境にいい」という表現が使えないからです。FIT電気の経費は再エネ賦課金として国民が負担しています。
再エネプランは環境価値を含めて料金を高めに設定している会社が多く、それを容認する消費者が再エネプランに切り替えるわけです。そのため、「再エネ賦課金がすでに国民から徴収されているFIT電気」を再エネプランに含めた場合、環境価値への支払いが二重になってしまいます。
こういった理由で、FITで売電した電気を「クリーンな電気」として販売することは認められていません。
電力各社の再エネプランを徹底比較
ここでは、電力会社各社が出している再エネプランを比較してみましょう。
東京電力
東京電力の法人向けプラン(500kW未満)の料金は以下の通りです。
【高圧電力Aの料金(単位:1kWh)】※2019年10月1日以降
基本料金 | 1,292円50銭 |
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電力量料金 | 夏季/17円37銭 その他季/16円24銭 |
上記に加えて、東京電力エナジーパートナーでは「アクアプレミアム」という水力100%の電気料金プランがあります。
アクアプレミアムでは使用電力量に対して環境価値分が電気料金に加算されます。単価は非公開で、使用量や契約している料金プランによって個別に決定するとされています。
使用電力のすべてをアクアプレミアムにすることも、一部だけを適用することも可能です。
ネクストエナジー・アンド・リソース
ネクストエナジー・アンド・リソースが運営する「GREENaでんき」の100%再エネプランでは、以下の料金が設定されています。
【東京電力エリア「GREENa RE100 動力」の料金(単位:1kWh)】※2019年10月1日以降
基本料金 | 1064円90銭 |
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電力量料金 | 夏季/18円39銭、その他季/16円82銭 |
【「GREENa RE100 動力」と東京電力の「高圧電力A」の料金の料金比較】
基本料金(単位:kWh) | 電力量料金 | |
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GREENa RE100 動力 | 1065円90銭 | 夏季/18円39銭 その他季/16円82銭 |
高圧電力A | 1,292円50銭 | 夏季/17円37銭 その他季/16円24銭 |
差額 | -226円60銭 | 夏季/+1円2銭 その他季/+58銭 |
このように、東京電力のスタンダードなプラン「高圧電力A」と比較すると、「GREENa RE100 動力」の電力量料金は1kWh当たり1円前後高くなっています。
しかし、基本料金は「GREENa RE100 動力」のほうが200円以上安い設定です。
東京電力の再エネプラン「アクアプレミアム」は環境価値が加算されるため、高圧電力Aよりも価格が高くなる可能性が高いでしょう。
すると、「GREENa RE100 動力」の電気料金のほうが安くなると予想されます。
四国電力
四国電力の法人向けプラン(500kW未満)の料金は以下の通りです。
【高圧電力Aの料金(単位:1kWh)】※2020年4月1日以降
基本料金 | 1,293円81銭 |
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電力量料金 | 夏季/16円43銭、その他季/15円14銭 |
四国電力は2018年10月から、家庭向けに「再エネプレミアムプラン」を実施しています。
電源は水力・太陽光・バイオマスで、一般的な従量電灯Aと比較すると1割ほど高くなります。2020年2月時点では、法人向けの再エネプランはありません。
九州電力
九州電力の法人向けプラン(500kW未満)の料金は以下の通りです。
【業務用電力A(6000V)の料金(単位:1kWh)】※2020年2月時点
基本料金 | 2,046円00銭 |
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電力量料金 | 夏季/12円99銭、その他季/12円06銭 |
九州電力では「再エネECOプラン‐水と地熱の電気特約」という水力と地熱を使用したCO2排出量ゼロのプランを提供しています。
使用する電力のすべて、または一部に本プランを適用することが可能です。適用対象の使用電力量に対して環境価値分が加算されます。
料金単価は公表されておらず、利用者に直接知らせるとしています。
中部電力
中部電力の再エネプラン「CO2フリーメニュー」は、各プランの料金に対して1kWhにつき4.40円を加算するというものです。
【第2種(季節別)プランAの料金にCO2フリーオプションを付けた場合(単位:1kWh)】※2020年2月時点
基本料金 | 1,666円76銭 |
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電力量料金 | 夏季/16円26銭+4円40銭=20円66銭 その他季/15円26銭+4円40銭=19円66銭 |
前述した九州電力や東京電力では環境価値分を加算するとされているものの、具体的な金額は公表されていません。
そこで、中部電力が設定している「1kWhにつき4.40円を加算」が、地域の大手電力会社による環境価値分の料金として1つの目安になると考えられます。
エコスタイル
「エコスタイルでんき」の高圧・特別高圧向けプランとして「自家消費型太陽光発電×非化石価値でんきREプラン」を提供しています。
再エネ比率は20%・50%・100%から選択できます。
自家消費型太陽光発電だけでは不足する電力をREプランで補うことによって再エネの比率を上げ、さらにコスト削減にもつながるというものです。
東京電力管内において契約電力1,000kW、年間使用電力量3,766,800kWhの場合、電気代が年間で15%削減できるという試算もあります。
再エネプランは新電力も含めて広く検討しよう
一般的に再エネプランは高いイメージがありますが、新電力会社の再エネプランでは安く供給できるように基本料金を抑えているケースが多いのです。新電力の再エネプランは、地域の大手電力会社のスタンダードプランと同じくらいか、もしくは、安くなる可能性があります。
地域の大手電力会社で高圧電力を契約している場合、新電力会社の再エネプランに切り替えれば、大きな負担もなく再エネ化を実現できるでしょう。