新電力とは? 電気を変えて安くする時代の新常識を徹底解説

新型コロナウイルスによる不況から、「新電力会社」に着目する企業様が増えています。電力会社を変更するだけで、月々の電気代を平均10~30%削減できるからです。
この記事では、電力会社の乗り換えを検討している方向けに、新電力の基本的なトピックや、安くなる仕組みを解説します。
事業の電気代が気になる企業様は、ぜひご一読ください。
新電力とは?
電力自由化によって個人・法人ともに電力会社を乗り換えられるようになりました。東京電力や関西電力など、私たちがこれまで契約している電力会社は、「既存の電力会社」と呼ばれています。

対して「新電力会社」とは、電力自由化をさかいに誕生した新しい電力会社です。東京ガスや楽天、KDDIなど、大手企業も電力事業に参入し、注目を集めています。
新電力に乗り換えている企業の割合
こちらは経済産業省が発表した新電力のシェアです。2019年12月時点では、全体で16.2%、低圧16.4%、高圧24.2%、特別高圧5.3%の割合で、新電力会社を契約しています。
法人が目を向けるべきは高圧です。高圧の値が24.2%ということは、およそ4社に1社の割合で新電力と契約していることになります。
特に、一般家庭向けである低圧の電力自由化が行われた2016年からは、およそ倍以上に増えています。
電力会社の変更は無料で行えます。このコロナ禍で、電力会社を新電力に乗り換える企業も増えるはずです。
競合他社はどこもやっている、検討していると思ったほうが良いでしょう。
新電力の仕組み
なぜ電力会社を切り替えただけで電気代が安くなるのかというと、それは電力供給の仕組みに答えがあります。
電気を私たちに届けてくれる電気事業者は、「①発電、②送配電、③小売」の3部門に分かれています。

東京電力など既存の電力会社は、発電から小売部門まで全てを行っていましたが、新電力が担当しているのは、基本的に③の小売のみです。
電気を届ける送配電に関しては、既存の電力会社がこれまで通り対応します。電気の品質や発電量、そして安全性が低下することはなく、停電のリスクが大きくなることもありません。
つまり、電力会社を変えても、使う方で見ればこれまでと特に変わりません。料金だけが辛るという認識で問題ありません。
新電力のメリット
電気代の削減をはじめ、新電力には多くのメリットが存在します。
①料金が安い
上記で説明したとおり、新電力は小売のみを担当する会社がほとんどです。既存の電力会社が行っているような大規模な設備投資をしなくていいため、安く電力を供給できます。
また、競争原理の原則も働きます。新電力としては、既存の電力会社や他の電力会社に客をとられたくないわけですら、必然的に安い料金プランを提示してくるでしょう。

新電力への変更で、具体的にどれくらい安くなるかはケースバイケースですが、弊社調べでは約94%もの企業様が減額に成功。平均的な削減額はおよそ10~30%です。
電気をこまめに消すなど、一般的な節電対策よりも高額な電気代削減。それも、電力会社を一度乗り換えるだけで行えます。
実際の削減金額は、現在の契約プランや消費電力などで大きく異なるため、まずは一度見積もりをして、複数社を比較してみましょう。
②施設や工場、複数の建物にも対応可能
おそらく大抵の企業・需要家様は、自社ビルの電気代削減を目指しているでしょう。しかし、電力会社の変更は、大型の商業施設や工場、病院、学校にも対応しています。
そしてポイントなのが、所有している建物の数と規模が多ければ多いほど、電気代を削減できます。この機会に、だいたんな電気代削減に踏み込んではいかがでしょうか?
③CO2削減にも有効
「RE100」や「SDGs」など、脱炭素化を志す企業が急増しています。新電力会社の中には、CO2削減を目指す企業様を応援するため、再エネ比率を高めた電気料金プランも提供しています。
再エネ比率が高いプランのため、通常のプランよりも料金が割高です。おそらく乗り換えることで、電気代は逆に上がってしまうでしょう。
しかし、再エネ比率が高いプランを選択することで、RE100やSDGsに取り組んでいるという、実績作りになります。
CO2削減には費用や労力、アイデアを有しますから、環境対策として再エネ比率が高いプランを導入する価値は十分にあるでしょう。
新電力「負」の一面は
メリットが多い新電力ですが、残念ながら負の一面もあります。
2021年、電気料金が高騰した新電力に起きたことは
2021年に入ってから、新電力の料金が高騰する騒ぎが発生しました。消費者の立場で最も影響を受けているのは、一部の新電力が提供している「市場連動型プラン」と呼ばれる電気料金プランです。
電気は電力卸取引市場(JPEX)で取引されており、自社で大型発電所を持たない新電力はこれを利用して電気を仕入れています。今回の原因は、様々な要因が合わさったことによる電力需要の高まりで、卸電力価格が高騰したことです。
「市場連動型プラン」とは、JPEXの卸価格がリアルタイムで電気の価格に反映される特殊なプランで1kWhあたり○円と規定される従量型とは大きく異なります。
平時であれば、市場連動型のプランは電力需要が少ない(卸価格が安い)時間に電気を買い込むスタイルで大きなメリットが得られました。その反面、市場価格の高騰があれば共に値上がりするリスクをもっており、今回の電力需要の逼迫で弱点をつかれた格好になっています。
こうした市場連動型の電気料金プランは特殊なものですが、今回の騒動はそれだけに収まりません。卸電力取引所を使う新電力は数多く、JPEXでの高騰が仕入れコストに直結して非常に厳しいとの声がすでに聞こえています。
自前で大型発電所を所有しないことが設備維持コストを浮かせるメリットでもあり、リスクでもあります。新電力のメリットを享受するときは、もしも急に倒産したらどんな行動ができるかを事前に確認しておくべきでしょう。
新電力が倒産・撤退したら?
今回の件に限らず、電力事業から撤退、倒産している新電力はすでに存在します。主な原因は顧客対応にかかるコストや、電気の調達価格の高騰とされています。
このとき、消費者として気になるのは「もしも契約している電力会社が撤退・倒産したら?」「電気は使えなくなるのか?」という問題です。
新電力が倒産したときの救済措置
結論からいうと、電気が使えなくなる事態を過剰に心配する必要はありません。
万が一撤退などに陥ったとしても、電力会社が事業を廃止するさいは、契約者にその旨を伝える義務があります。いつの間にか倒産して電力の契約が無くなっていた、ということは起こりません。
加えて、電力供給がされなくなった場合は、既存の電力会社が代わりに電気を供給してくれます。廃業の通知から、乗り換えが遅れてしまっても安心です。

注意点としては、非常時に提供される電気のプランは安くありません。自社に最適でないプランですので、電気代が相対的に高く感じてしまうことでしょう。
もしも廃業の通知が来たら、速やかに新しい電力会社を検討するのが正解です。
新電力詐欺
電力会社を装って、相手の個人情報を入手しようとする事件が確認されています。
もしもそういった電話がかかってきたときは、本当に電力会社の方かどうか、会社に直接問い合わせを行いましょう。また、信頼できる番号以外では、電話口で個人情報を教えるのは控えましょう。
ずさんな運営、悪質な電力会社もある
顧客対応が杜撰、解約金の表記が不適切、現在地や代表者名が虚偽のものなど、悪質な電力会社も確認されています。
ただ、確認されているケースは、家庭や商店向けである小売電気事業者の場合がほとんどです。
新電力会社といっても、実績がないに等しい企業から、20年以上の確かな実績がある企業までさまざまです。
新電力を選ぶ際に確かな販売実績がある会社を選択しましょう。または、信頼できる電力会社の中から一括見積りできるスイッチビズの見直しサービスをご利用ください。
新電力に変えると本当に安くなるのか?
新電力会社は既存の電力会社と異なり、小売のみを担当するため、設備投資がほとんど不要。お得な金額でプランを提供してくれます。
また、電気の質や安全性に関わる送配電と、発電部門は旧来の電力会社が担当します。新電力に切り替えたことで電気が使えなくなる、停電リスクが増加するという心配は無用です。
コロナ不況が訪れている現在、経費を減らすのは非常に重要です。新電力のリスクとメリットをしっかり押さえて、電力コスト削減にお役立てください。