冬の電気料金はなぜ高騰した?原因とリスクを振り返る
電力需要の逼迫は記憶に新しく、2020年末から年明けまでの間に電力価格がおよそ10倍にまで高騰し、「電気料金が突如として跳ね上がってしまう一部の消費者」と「電気を売るほど赤字になる電力会社」が発生しました。2021年も原油や天然ガスなどの資源価格が高騰を続け、さらに北半球の気温が低下するラニーニャ現象が発生する可能性が高い今冬について、経済産業省は電力需給が「過去10年間で最も厳しい見通し」だとしています。
家庭と企業の電気料金はこの冬どうなってしまうのか、2020年冬の電気料金高騰についてエネルギーのプロが語った動画から振り返ります。
長尾
本日はですね、電気料金が最近、高騰したっていうことで…。
江田
タイムリーな話ですね。
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長尾
そうですね。TVだったりとか騒がしてると思うんですけども、僕のもとにもですね、結構そういう相談が来るんですよね。
「電気料金上がるの?」とか、「請求が2倍3倍で来るって聞いたんですけど」みたいな電話がかかってきたりするんですけども、実際にその辺どうなのかっていうのを、背景も含めてお話しいただけますか?
江田
分かりました。
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電気料金が高騰してしまったのはなぜ?今後もリスクヘッジは必要?
江田
元々の背景というか、2020年、コロナが始まって以降、実は電気代は安かったんですよね。
っていうのは、皆さんなんとなくイメージできると思いますが、電気をあんまり、家に居てみんな使ってなかったりとか、それによって石油の価格が下がったりとかっていう、実は電力需要が結構落ちた理由もあって、2020年代は結構下がってました。
なんですが、今、長尾さんがおっしゃったように、12月のですね、17~18日ぐらいからですかね。
いわゆる電気の卸売市場っていうのがあって、そこは築地の市場みたいな感じで、市場に入れる電力の販売をできる人たちだけが買う、そういう場所があるんですけど、そこの電気の料金が、いきなり10倍ぐらいに高騰しちゃって。
長尾
10倍ですか?!
江田
はい。っていうのがありまして、それが大体1ヶ月ぐらい続いちゃって。なので、例えば100円で仕入れたマグロで、120円でお寿司で出してたとしたら、仕入れ値が1,000円になっちゃったみたいな形で、結構電力会社が困ってるんですけれども。
一部の電力会社は、自分たちの仕入れが高くなったときに、出すお寿司の値段も一緒に上げますよみたいな契約をしているサービスもありまして。そういうお客さんに関しては、「自分たちの値段どうなっちゃうのか?」ということで、問い合わせが来てるんだと思います。
長尾
そういうことだったんですね。
江田
ただ、そういうお客さんはですね、実は全体の数%、1割もいないぐらいなんですけれども、請求額が2倍3倍5倍という方も出てきてもおかしくないのかなと。請求自体は2月以降になりますので、もしかしたら今届いてたりとか、今後になるかなと思うんですけども。
長尾
ということはあれですよね、自分がどういう契約で入っているのか、そこを確認っていうことですよね。
江田
そうですね、確認した方がいいですね。一般の消費者の方に関しては、ニュースとかでも出ているように、そういった契約に入ってる方ってすごく少ないんですね。
長尾
なるほど、なるほど。
江田
基本的に固定で入ってる方がほとんどなので、よっぽどですね、自分で色々考えてそういうのにしたっていう記憶がない方はだいたいセーフだと思うんですけれども。
企業さんの場合は、相対契約、一個ずつの契約を電力会社と企業が結んでいくという、いわゆる、一般の契約ですか。BtoBの契約の仕方なので、自分が契約した電力会社さんにちゃんと問い合わせてみるっていう必要はありますね。
長尾
なるほど、なるほど、そういうことなんですね。
江田
特に企業さんですと、月100万200万、電気代使ってる会社って普通にありますから、それがね、例えば毎月200万の電気代が、ある月400万で来たら結構辛いですよね(笑)。
長尾
逆にあれですよね、仕入れが高騰することによって、変動プランは回避策って、電力会社さんあると思うんですけど。固定額で小売りされてる会社さんって、単純に仕入れが10倍になって、売値が変わらなければ、売れば売るほど赤字じゃないですか。
江田
おっしゃる通りです。
長尾
電力会社さん、相当厳しいんじゃないかと思うんですけど。
江田
そうですね、電力会社さんの立場に立って言うと、今おっしゃったように、1,000円で仕入れがお魚を100円で売り続けなきゃいけないみたいな感じの会社もあるので。
それが1日だけであればいいんですけど、今回は1ヶ月ぐらい続きましたんで。これは世界でも初めてらしいんですけれども、そういった電力会社さんは、本当にこれから2月3月、資金繰りに大変だろうなと思います。
長尾
なるほど、なるほど。
江田
ただ、経済産業省もそういったところに、業者間での支払いをどうするかみたいなことを、今、話し合ってたりもするんで、いきなりですね、色んな電力会社がどんどん潰れてしまうということにならないように、皆さんが話し合っているところではありますね。
長尾
そういうことなんですね。今もまだ高騰してるんですか?
江田
今はですね、大丈夫です。いつも通りの価格というか、電力価格で言うと、10円以下ぐらいが一般的な価格なんですけど、10円以下で収まってますね。それが、高かった時には200円ぐらいまでいったわけで。それが今、日頃の価格に、もう抑えられてますね。
長尾
そうなんですね。それって、何月何日から何日ぐらいまで?
江田
12月の20日ぐらいから、1月の20日過ぎぐらいまでですかね。
長尾
そうことなんですね、なるほど。
江田
お正月跨いじゃったんで、電力会社も結構対応が難しかったりとか、色々ありました。
長尾
なるほど、なるほど。こういったことって、また起きうるんですかね?
江田
う~ん。個人的には起きてほしくないなというか。一時的な、1日2日の値上がりっていうのは色んな、たとえば燃料が日本に届かなかったとか、寒波が来たとかであっても、マーケットなので致し方ないと思うんですけれども。
こういう、1週間2週間3週間ってずっと続いちゃうと、電力会社の経営にも影響してきますので、個人的にはそういうのが減る、そういった仕組みづくりっていうのは、作っていただきたいなとは思ってます。
長尾
なるほど、そうですよね。なので、まずやらなきゃいけないこととしては、そういう仕組みづくりっていうのはあると思うんですけども、同時に、電力会社さんとしては自分たちでヘッジできるような対策を打たなきゃいけないっていうのはあると思うんですよ。
江田
そうですね。
長尾
そこは各社さん努力すると思うんですけども、需要家さんですね。需要家さん側の立場に立った時に、今後そういったリスクを回避する方法だったりとか、電力会社の選び方だったりとか、そういったところでアドバイスとかってありますか?
江田
そうですね、法人の方とかで、もしかしたらまだ電力を一度も切り替えてないという方もいらっしゃるのかもしれないんですが。
電力、今はもう、16年4月から全面自由化になりまして、切り替えができるようになりましたので、一番初めにやるのは、自分の自社の今の契約プランをしっかり確認すると。
江田
で、契約が変動型かどうかっていうことも含めて確認しつつ、毎年のように切り替えはできますので、自分たちの利用料を確認しながら、コスト削除っていう良い面もありますので、毎年見直していくっていうのが大切だなと思ってます。
長尾
そうですね。そこに、このチャンネルは脱炭素チャンネルっていうのもありますんで、プラス、脱炭素的な観点での再エネプランだったりとか、そういうのを考慮して選んでいただけるといいですよね。
江田
そうですね。16年4月の自由化の頃は、まだ再エネプラン、もしくは100%再エネですっていうプランってなかなか無かったんですけれども。最近では色んな電力会社さんがそういった再エネプランを出してきていますので、選びがいがある時代になってきたかなと思ってます。
長尾
なるほど、なるほど。そう考えるとやっぱり、企業として買う電気が何で作られてるか、要は再エネで作られているのか、火力で作られているのかっていう軸とか。
あとは、購入させていただく企業の体力だったりとか、どれぐらいリスクヘッジしてるかだったりだとか、こういう高騰に対して。
そういうのを総合的に考慮した上で、我々需要家としては、どの会社から電気を買うかっていうのを決めていくみたいな、そんなイメージですかね。
江田
そうですね、その通りですね。
長尾
江田さんの動画、また聞きたいって方はですね、ぜひチャンネル登録の方よろしくお願いいたします。それではまた次回、「脱炭素ならスイッチビズ」でお会いしましょう。