脱炭素しながら利益をあげるのは十分可能!JCLP顧問が語る納得の仕掛け
長尾
本日はJCLP顧問、石田さんに来ていただきました。
石田
JCLP顧問の石田です。
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石田
私の名前が建一というんですが、生まれたときに親父が大工をやってまして、将来、中学出て大工にしようと思って建一と付けたらしいんですが。
親の期待を裏切ってですね、積水ハウスに入って、温暖化防止というのに携わって、今年の3月まで積水ハウスの常務をさせていただいて、今JCLPの顧問をしてます。
長尾
そのJCLPさんのご紹介もお願いしてもいいですか?
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JCLPとは
石田
JCLPはですね、2050年、脱炭素を目指す企業の集まりでして、気候変動の危機感を共有してるということですね。
現在、加盟社数は184社、総売上合計がですね、144兆8,000億円っていうことで、日本の売り上げの約2割を占めてます。ですから、非常に大きな団体だと思います。
石田
やってる内容というのはですね、政治的にもっと脱炭素を進めてほしいというのを訴えていこうというのと、脱炭素をしようと言っても、企業自体はどうしたらいいのか分からないので、ソリューションをみんなで作っていこうじゃないかというのがこの団体です。
長尾
これ、ロゴ見ると、そうそうたる企業さんが加盟されてると思うんですけども、具体的なロビー活動だったりとか、ソリューションの事例があったら教えていただきたいんですけども。
石田
最近の事例で言うと、去年の6月にですね、小泉環境大臣のところにお会いしに行ってですね、「『コロナ危機からのV字回復フェーズ』における経済対策に関する声明」をご説明させていただきました。
ヨーロッパとかグローバルでは、コロナからの回復のときに、単に元に戻そうじゃなくて、より良い社会に戻そうって言うんで、「グリーンリカバリー」とかって言われてたわけですが。
日本はなかなかそれがあんまり、より良いっていう話にはなってなかったんで、より環境にいい世の中に戻したいんだっていうことで提案をさせていただきました。
その中に、今ちょっと話題になってるカーボンプライシングを導入して、炭素税を復興の資金に充てたらどうかっていうような提案も入ってたんですが。
これに対して小泉大臣は、「カーボンプライシングを賛成する企業がいたなんて初めて知った」っていうようなことを言っていただきました。
長尾
なるほど。日本の総売上の2割を占めてる企業団体の集まりがそこに向かって賛成ですっていう。
石田
そういうことですね。「インフルエンスマップ」っていうのがあるんですけど、それご存知ですかね?
長尾
いや、ちょっと分からない。
石田
団体とか企業を評価していって、言ってることとやってることが一緒なのかどうかっていうことですね。
例えば、「脱炭素賛成!」って言っておきながら、裏のロビー活動で反対してるというか、企業も結構いるわけですね。
長尾
ちなみにどんな企業が?
石田
え~と、それはちょっと言えないんですけど(笑)。
インフルエンスマップが発表した、日本全体の色んなところを評価したものがあるんですけれども、最も評価が高いのが実はJCLPなんですね。
長尾
石田さん、ちょっと教えていただきたいのが、そもそもJCLPさん自体が2割もあるって考えるとすごいことだなと思っておりまして、そういう風になった背景とかって何かあったりするんですか?
石田
ニュースでも毎日、大雨が来て「1000年に一度だ」とかって言ってますけど、毎年「100年に一度」とか、「何年に一度」とかっていうのがニュースで出てると思うんですね。だから毎年更新される、と。
これはやっぱり気候変動のせいなんだろうっていうことで、企業としては気候変動を止めないきゃいけないという、事業を継続するためには、そういう危機感が1つにはあります。
あと、一昨年の台風被害っていうのは2兆円を超えているので、やっぱり今のうちに止めないと、我々被害を大きく受けるんじゃないかっていうようなことが危機感としてはあります。
長尾
石田さんのご存知の範囲で、脱炭素をすることによって売り上げが上がったりとか、業績が上がったりだったりとか、そういった事例ってありますか?
石田
IKEAさんとかGAFAとか、みんな脱炭素に向かってCO2を減らして売り上げを上げてるということで。
あと、身近な事例として、私が3月までいた積水ハウスではですね、2015~2019年までの売り上げで、売り上げを13%向上させて、CO2排出は20%削減してるということなので、CO2を減らしながら売り上げを上げるっていうことは十分可能だということだと思います。
長尾
これってあれですか、削減を直接の原因として売り上げが上がったのか、それとも、そことは関係ないけれども削減に影響されず売り上げも伸びたっていうところですかね?
石田
一番大きいのはですね、2008年に積水ハウスっていうのは脱炭素宣言をして、それから脱炭素の方向性の商品展開をしてきたわけです。ですから、どんどん商品が脱炭素の商品に入れ替わっていくと、CO2は減ると。
脱炭素の商品って太陽光がついたり、燃料電池がついたり、性能が良くなったりって、一棟単価が上がってくるので売り上げも大きくなるっていうことなので。
他社よりも早く脱炭素に転換していくということが脱炭素社会で事業を継続して成長し続けるためには必要なんだっていうことだと思います。
長尾
石田さん、ありがとうございます。ちょっとまだまだお話聞きたいところなんですけども、少しちょっと時間がやってまいりましたので。
次回はですね、菅政権が2030年までに二酸化炭素を2013年対比で46%削減という宣言をされたじゃないですか。これに関するJCLPさんだったりとか、石田さん個人のご見解を中心にちょっとお話伺えたらという風に思ってますのでよろしくお願いします。
石田
はい、よろしくお願いします。
長尾
次回、また石田さんのお話を聞きたいという方はですね、チャンネル登録の方よろしくお願いします。それではまた「脱炭素ならスイッチビズ」でお会いしましょう。
石田
よろしくお願いします。
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【なぜ、2030年に46%削減なのか?】JCLP顧問が、菅政権の目標の意味合いを解説
石田
日本は○○%っていうのは、世界平均の目標値ギリギリの線だと。最低レベルだっていうことです。
長尾
はい、石田さん、第2回目ということで、よろしくお願いします。
石田
はい、よろしくお願いします。
長尾
菅政権がですね2030年までに、2013年度対比で46%二酸化炭素削減というような目標を宣言されてたと思うんですけども。これ、実際に達成可能なのがどうなのか、JCLPさんのご見解として、ちょっと教えていただいてもいいでしょうか?
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石田
もちろん達成可能だと。2030年までに50%削減目標にしてくれってずっとお願いをして回ってたんですね、去年くらいは。
その根拠は何かって言うと、1つは、これちょっと難しいんですけれども、カーボンバジェットっていうのがあるんですね。
2050年、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、どのくらいCO2を排出できるかっていうか、それ以上排出しちゃうと1.5℃を超えちゃうよっていう積算値があるわけですね。それが、2620ギガトン。
石田
産業革命以来ですね、2017年までに、実は約8割をもう排出しちゃってるんです。だから残り2割しかない。
今のペースで排出し続けると、あと10年で使い切っちゃうんだと。2030年に向けて減らしていかないと、1.5℃目標っていうのを達成できないんです。だから、2030年の目標を小さくしなきゃいけないっていうことですね。
長尾
その1.5℃目標が達成できなかったら、我々にどういう世界が待ち受けてるんでしょうか?
石田
例えば、皆さんコロナでですね、今の行動が2週間後に現れて、患者数が増えていくっていって、1ヶ月後に死者数に反映する。今すぐ行動を変えようよとかいって変えたりしてきてる訳なんですけども。CO2排出っていうのは、数年後とか10年後とかっていう時に、気温上昇になる訳ですね。
その気温上昇が、大災害を引き起こすということになるわけです。だから、その時になって行動を改めようではもう遅いっていうことなんです。
ですから、今分かっているんだから、CO2排出を減らしていかなくちゃいけない。しかもそれは、我々の子供だったり孫だったりっていう、未来の子供たちに影響を与えるんだ、と。
あとは、基準年が違うとかですね、各国の目標がバラバラでどう見たらいいんだか分かんない、と。
実はこれ、統一した基準年度に置き換えるっていうことが可能でして、日本の、2013年度45%(46%)削減っていうのは、2010年度比で大体43%くらい。世界の削減目標である2010年比で45%に相当するというようなことになります。
石田
日本は46%っていうのは、世界平均の目標値ギリギリの線だと。最低レベルだっていうことです。2030年までに46〜50%と言われてるのは、もっと上げろと海外からは言ってる訳です。
長尾
すごい高い目標のように感じたんですけど、達成が不可能っていうようなことではないっていう理解でいいんですかね?
石田
そうですね。去年の1月にイギリスの住宅大臣にお会いしてきて、50年、脱炭素はできるんですか?って聞いたら、できるとかできないとかっていう問題じゃないんだ、と。目標を定めて、具体的にその方向に向かって動き出すっていうことが重要なんだ、と。
日本のようにですね、2050年のなるべく早い時期に脱炭素と言っていたら、多分できないって言われた訳ですね。
長尾
石田さんのおっしゃる通りだという風に思います。
今、エネ庁の方でですね、2030年までの電源構成比率ですよね、再生可能エネルギーを何%にするのかとか、議論してると思うんですけども、JCLPさんとしては何%が妥当だと思います?
石田
JCLPとしては、50%まで再エネ、可能なんじゃないかっていうのが意見ですね。
これは何故かって言うと、今は10%くらいですね、水力発電とか、制御の利く再エネがある訳です。太陽光とか風力とかっていう、我々が制御できない、天候任せっていうやつが40%あります。
グローバルのレポートではですね、現在の配電システム網で、変動性再エネっていうのは40%くらいは吸収可能だっていうレポートが出てまして。ということは、日本の配電網の技術というのは、恐らく世界に比べて低い訳がない、と。
だからあとは、頑張っていかに再エネを増やしていくのかっていう努力をするかだと思うんです。今ある技術を、いかにたくさん普及させるかというところが重要なんだろうという風に思います。
長尾
環境省が住宅の太陽光義務化っていう案を出してたりとかもするじゃないですか。JCLPさん、もしくは石田さんのご見解としてはいかがですか?
石田
もちろん、住宅の屋根に付けるっていうのは賛成でして、義務化をするべきだという風には思います。
一番の問題は条件が違うことです。例えば、日が当たらない所はどうするとか、色んなことを言う人がいて反対をされてる。
ただ、やはり、できるところはなるべくやってくっていうことで、義務化をやった方がいいと思うんですね。
この理由は、例えばスーパーのレジ袋。これ、今まで、料金の義務化以前のときには、減らしましょうね、マイバッグ持ちましょうねって、ずっと言ってきた訳ですけど、その比率はあんまり上がらなかった訳ですよね。有料義務化にした途端に、みんなマイバッグ持ってる訳です。
やっぱり義務化をして、どうしてもダメな人は、お金を払うなりなんなりペナルティを払ってくださいっていう方がいいんじゃないかという風に思います。
長尾
石田さん、ありがとうございます。今日はまた時間がきましたので、3回目、またちょっとお願いしてもよろしいでしょうか?
石田
はい。
長尾
そしたらですね、次回3回目、最終話になりますので、ぜひ皆さん、お見逃しなくご覧いただければと思います。それでは、「脱炭素ならスイッチビズ」でまたお会いしましょう。
石田
はい。